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台北市鳳甲美術館 |
台湾全域には地方の文化を紹介する文化館が273ヶ所あり、台湾北部、中部、南部、東部に点在しています。これらの文化館の展示テーマは映画、文学、美術、音楽や特色のある音声、伝統産業、民間芸能、住宅コミュニティー建設、自然生態、宗教、工業の遺跡、産業パークなどに分かれ、展示品
はバラエティーに富んでいるのみならず、その中に秘められた文化の精髄と精神は台湾の地方文化を更に輝かしいものにしています。
台湾国際放送の経営母体、中央放送局が製作する「フォルモサフォーカス 地方文化館巡り」シリーズを通じて、国内外のリスナーに、台湾の伝統文化と文化遺産、独特の風俗習慣、そして優れた文化をより深く認識いただければと思います。
今週は台北市内の温泉リゾート地、北投にある、「鳳甲美術館」についてご紹介いたします。名前通りに館内には油彩画、水彩画、スケッチ、水墨画、刺繍、彫刻などの芸術品がたくさん収蔵されており、所蔵品の数はなんと2500点あまりにも上っています。そのうち、500点近くの刺繍作品に特に注目が集まっています。20世紀の70年代から80年代にかけての中国大陸4大名繍(著名な刺繍)の代表作が殆どここに集まっています。中国大陸の刺繍史を研究する専門家はかつて、「鳳甲美術館」で所蔵されている刺繍作品を参観することは、まるでこの百年来の中国大陸の刺繍史を読んでいるかのようだと、その所蔵品の多さに驚きました。これらの所蔵品はすべて美術館の創設者、邱再興・董事長が中国大陸の各地から集めてきたものです。
ハイテク産業の第一線で活躍している邱再興・董事長はなぜ、芸術と文化産業を推進するボランティアに変身したのでしょうか、
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台北市鳳甲美術館 |
(邱再興・董事長の話)
「20数年前、私は仕事のために東ヨーロッパを訪れました。そこで物質的な生活は非常に貧しいけれども、精神的な生活は大変豊かだということを実感したんです。当時の台湾はどうだったかといいますと、そのころ、台湾の株式市場が活況だったため、投機マネーによるマネーゲームが活発で、物質的な生活は豊かに見える一方で、精神的な生活は非常に貧しかったんです。」
邱再興・董事長は台湾の人達の精神的な生活をより豊かなものにするため、幼馴染みの親友、台湾の著名な音楽家、馬水龍・教授の提案の下、1991年に財団法人邱再興文化教育基金会を創設しました。邱・董事長自身も音楽が大好きなんです。台湾の作曲家をサポートするため、邱・董事長は「春秋楽集」を設けて、年に二回ほど、台湾の音楽創作者に作品を発表する舞台を提供しています。
(邱再興・董事長の話)
「基金会発足後の初めての仕事は、台湾の作曲家に作品を発表する舞台を提供することでした。そのため「春秋楽集」を設けました。春は40歳以下の比較的若い作曲家の作品を、そして、秋には40歳以上の作曲家の作品を発表しています。年間10数曲の新曲を発表していますが、その影響で創作に励む作曲家も少なくないようです。」
行政院文化建設委員会は台湾の現代音楽の推進に対する邱再興・董事長の貢献を称えるため、1998年に第一回文馨賞の特別賞を邱・董事長に授与しました。邱・董事長はそれで大いに励まされ、今度は音楽と視覚芸術とを結合する「鳳甲美術館」を作ったのです。美術館の名前である「鳳甲」二文字は邱・董事長の父親の名前です。長年、台湾音楽の作曲を奨励するボランティア活動に尽力している邱・董事長は2006年、再び文化建設委員会に表彰されました。
台湾の芸術家や文人らはよく「鳳甲美術館」を利用しています。それは、「鳳甲美術館」のハードウエアが国際レベルにあるほか、オーナーの邱再興・董事長が同美術館の経営に膨大な資金と力を注いでいるからです。台湾のパソコン最大手、エイサーの施振栄・元董事長は、邱再興・董事長のことを「台湾の電子産業の先駆者」と称えています。一部の実業家は投資目的で芸術品を購入します。しかし、邱再興・董事長は芸術と文化産業、及び芸術教育を推進する目的で、「鳳甲美術館」を経営しており、自らの収蔵品を一般大衆と分かち合っています。
(邱再興・董事長の話)
「『鳳甲美術館』を創設した主な目的は子供、または若い学生らに芸術に接するチャンスをより多く与えるためです。誰でも利用できる美術館を作りたいんです。ですから、最初の段階としてまず、『鳳甲美術館』を住宅団地の美術館と位置づけました。時間があれば、誰でも無料で参観できるんです。」
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1999年10月25日、『鳳甲美術館』が正式に一般公開されました。芸術教育を非常に重視する邱再興・董事長は同美術館での展示、座談会、読書会を通じて、住宅区内の学生や社会団体、住民たちに芸術を鑑賞するのにもってこいの環境を提供し、台湾の芸術の発展のために貢献したいと考えています。
『鳳甲美術館』の所蔵品は大きく分けて五つの種類に分けることが出来ます。
この五種類とは第一に、油彩画、水彩画、スケッチ、版画などの絵画作品です。台湾の各年齢層の著名な画家の作品、現在のヨーロッパの著名な画家の作品、日本のかつての著名な画家の作品、中国大陸の現在の著名な画家の作品などが数多く展示されています。
第二に、水墨画、書道作品。水墨画と書道作品は同美術館の展示品の中で大きな比重を占めています。その中には台湾の画家と書道の大家の作品はもちろん、中国大陸の大家のものも数多くあります。
第三に、中国大陸の刺繍作品。中国大陸の四大ジャンルとされる著名な刺繍作品が一堂に会しています。
第四に、立体の彫刻。木彫り、銅彫刻など、内外の著名な大家の作品ばかりです。現代彫刻の父とされる、フランスの彫刻家ロダンの作品もあります。
第五に、台湾文献画。台湾文献画は台湾の美術館、及び博物館が収蔵していない部分の作品を指しています。つまり、1949年、国民政府が台湾にやってくる前の台湾の書画のことです。この部分の作品は台湾の美術史上であまり重視されてこなかったため、邱再興・董事長は『鳳甲美術館』の収蔵と宣伝で、この領域の芸術品に対する国内の芸術愛好者の重視と注意を喚起しようとしています。
『鳳甲美術館』は展覧エリア、所蔵品エリアの二つの部分に分かれています。展覧エリアは凡そ100坪で、芸術の創作者、及び独立した展覧会の主催者に無償で開放しています。また、邱再興・董事長は絵画作品や掛け軸などを長く保存するため、所蔵品エリアに一般の民間の美術館であまり見ることのできない「恒温恒湿ルーム」を設けています。
2002年11月23日に設立された「珍秀館」は邱再興・董事長のなくなった夫人、許秀桂・女史を記念するために作られたもので、凡そ60坪あります。最初に展示されたのは中国大陸の著名な刺繍作品です。刺繍作品の他に、中国大陸の刺繍の歴史なども段階を追って紹介されました。
(『鳳甲美術館』の翁淑英・館長の感想)
『鳳甲美術館』で長く働いている翁淑英・館長は、邱再興・董事長のボランティア精神に深い感銘を受けました。この八年来、美術館は無料で一般開放しています。すべての経費は邱再興・董事長が出しています。館内で働いているボランティアもすべて自費です。ボランティアたちも邱再興・董事長の精神に深く感動し、黙々と自分たちの力を捧げているのです。
ここ数年、有意義なことに資金を注ぐハイテク産業の実業家が増えています。台湾の著名なIT産業、英業達・インベンテック社の故温世仁・副董事長は生前、中国大陸の辺境地区におけるデジタルデバイドを解消するため、甘粛省にネット通信網を作り、現地の学生たちの視野を広げ、貧困な生活から救おうとしました。邱再興・董事長のストーリーも似たところがあります。両者の違いは、邱再興・董事長は台湾の人達が精神的に貧困な生活から抜け出せるよう手伝おうとしているところです。自らこれに取り組んでいるほか、ハイテク産業界の友人たちにも協力してもらっています。第一線から退いた、エイサーの施振栄・元董事長もその一人です。邱再興・董事長は、芸術の普及には長時間の累積が必要だと考えています。ですから、邱・董事長は、「種を蒔いたり、小さなともし火をつけたりすることで、より多くの人が共に参与してくれるよう引き付けたい。生きている限り、それを続けたい」と話しているのです。
(邱再興・董事長の話)
「私はここで灯りをつけただけです。でも、より多くの人がこの灯りに目を向けてくれるよう希望しています。」
今週から始まった、「フォルモサフォーカス、地方文化館巡り」のコーナー。本日は、台北市内の『鳳甲美術館』をご紹介いたしました。ご興味のある方は一度、足を運んでみてはいかがでしょうか、住所は台北市北投区大業路260号の5階です。開館時間は休館日の月曜日を除いて、毎日午前10時30分から午後5時30分までです。館内には食堂など、食事をするところはありません。台北市内から行く場合、MRT淡水線に乗って奇岩駅で下車、三合街出口を出て左折、大業路を左に曲がると『鳳甲美術館』が見えてきます。淡水線奇岩駅から歩いて5分間ぐらいのところです。(担当:王淑卿)
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