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郭常喜兵器芸術文物館 |
「郭常喜兵器芸術文物館」は、台湾南部高雄県茄萣郷にあります。半世紀にわたり鋼鉄鍛造技術を研究してきた台湾の刀剣兵器芸術の大家、郭常喜さんにより2002年10月に開設されました。
国際的に有名な映画監督、アン・リー(李安)監督の2000年の作品『グリーン・デスティニー』を見たことのある人は少なくありません。しかし、ストーリーのカギとなった剣をはじめ、映画の中で登場する400本もの刀剣がすべて、郭常喜さんの手によるものだということを知っている人はごくまれです。
(郭常喜さんのお話)
「鍛冶の仕事は私で三代目です。祖父と父も鍛冶屋をしていました。私は小学校のときから父を手伝っていて、卒業すると父は私に一緒に仕事しようと言いました。でも私は、鍛冶屋なんか儲からないと反抗しました。すると父は、鉄の鎖でお前を街灯の下にくくりつけると脅しました。不景気でほかの仕事も無いので、父と一緒に仕事をすることにしました。」
最初の頃、郭常喜さんはお父さんと一緒に農具を作っていましたが、後に機械用の刃物を作るようになり、その後も研究と改良を重ねた末、台湾でも数少ない「宋江陣」で使う全ての武具を伝統的な鍛造法で作れる刀鍛冶になりました。「宋江陣」というのは多人数で行う伝統的な武術演技のことで、廟などのお祭りに登場します。様々な形の刀や斧などが使われます。その後、郭常喜さんは武器に対してさらに強い興味を持つようになり、台湾と中国大陸の古い武器を収集し始めた。そして、郭常喜さんは、鍛冶屋になろうとする人が減り、産業が衰退していく中、一般の人たちに多様な兵器文化を知ってもらおうと武器専門の文物館を設立することを思い立ったのです。
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郭常喜兵器芸術文物館 |
(郭常喜さんのお話)
「1987年に戒厳令が解除された後、各地の文化センターで武器の展覧会をしたのですが、公の場所なので10日間ぐらいしか期間をもらえないのです。六百から七百もの武器を持っていき、2,3日かかって設営して、8日間から10日間展示した後、また持って帰るという状態でした。中には千年から二千年の歴史がある古いものもあり、運んでばかりいると破損してしまいます。それなら兵器専門の博物館を開いた方がいいと思ったんです。」
郭さんがよく使う言葉があります。「一日三煉、三日で九煉、九煉で鋼となる」つまり、何度も徹底的に鍛えなければ、硬くて折れない一振りの刀は作れないということです。郭さんにとって、刀剣は人殺しのための凶器ではなく、人の心をとらえて離さない美しい工芸品です。古代の宝剣が持っていた美しい模様を作り出すために、郭さんは久しく失われていた伝統鋳剣技法-多重折畳花紋鋼の神技を再現しました。郭さんの作品が台湾省美術展覧会などの大賞を受賞し、内外の刀剣コレクター垂涎の的となったのも、絶え間ない研鑽の賜物なのです。
(郭常喜さんのお話)
「博物館には、古代の斧から民国の宋江陣の武器まで、各時代の武器が揃っています。各時代の武器はそれぞれ変化しています。博物館を作ったときの館長は歴史学者の大学教授でした。彼は歴史の専門家なので、古代の宝である刀剣について詳しく、そういった刀にある模様の絵を描いてくれました。私は絵を見れば作ることができます。そこで、私は各時代の武器を復元して博物館で展示しました。所蔵する武器は四千から五千点ですが、博物館に展示できるのは三、四百種類ですので、半年に一度展示換えをしています。」
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郭常喜兵器芸術文物館 |
郭さんの刀は、アン・リー監督の映画でたくさん使われています。郭さんはどのようにして、アン・リー監督と出会ったのでしょうか。
(郭常喜さんのお話)
「私は高雄の漁港に引越して、自分で作って自分で売る鍛冶屋を開きました。入り口には宋江陣の武器を並べていました。当時アン・リー監督は川向こうの台南に住んでいました。ある日彼は私の店に入ってきて、刀剣は注文もできるのか、と聞きました。私は、絵を持って来てくれれば作れる、と言いました。彼はその日はそのまま帰ったのですが、少し後に絵を持って来て、これを作ってほしいから見積もってほしい、映画の撮影で使うから、と言いました。私は以前にも映画用に刀剣を作ったことがありましたから、別に何も感じないまま、彼の注文どおりに作りました。それからしばらくして、映画『グリーン・デスティニー』が大評判になって、ようやく彼が名監督アン・リーさんだったと知ったのです。」
自宅を文物館にして、生涯をかけて集めた収蔵品と自分の作品を展示して公開する。これは郭さんが、文化の伝承は天が彼に与えた使命だと考えているからです。
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郭常喜兵器芸術文物館 |
郭さんは、これらの兵器を自分の子孫に残したいとは思っていません。郭さんは、「これらの武器は好きな人にとっては宝物だけど、興味のない人にとっては鉄くずの山だから」と言います。しかし、刀剣工芸と兵器文化を代々伝え続けていくには、適切な保管場所と展示場所が必要です。郭さんは自分が持つ全てのコレクションを文物館に寄付しました。このような気前のよさは、豪放で知られる古代の侠客たちでもなかなか出来ないことではないでしょうか。
「郭常喜兵器芸術文物館」は高雄県茄萣郷民生路226号にあります。台湾鉄道で大湖駅へ行き、そこからはタクシーで興達小学校まで行くとすぐです。開館時間は午前9時から12時まで、および午後1時半から6時までで、月曜日は休館日。入館料は台湾元50元です。
刀鍛冶が刀を打つ音はどんな音なのか。世に伝わる宝の剣たちはどのように作られたのか。「郭常喜兵器芸術文物館」はあなたの兵器に対する想像をすべて、現実のものとして見せてくれるのです。
(担当:上野重樹) |