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新竹県老湖口天主堂 |
「老湖口天主堂」は新竹県湖口のオールド・ストリート、つまり、古い町並みを残した通りのはずれに立つ古いカトリック教会だった建物です。清の時代、台湾で初の鉄道が、現在の基隆から新竹まで敷かれました。湖口には大湖口という貨物駅が設けられ、人と物とが行きかうようになったここには20世紀初期に駅から長さ300メートルにわたって、赤レンガで彩られた店が立ち並ぶ幅7メートルの商店街が出来ました。しかし、その後、駅が別の場所に移されると列車も人も去り、湖口の繁栄は消え去りました。
しかし、この古い商店街は復活したのです。今では「湖口老街」と呼ばれます。復活のために奔走した地元・湖鏡村の羅美揺・村長にお話を聞いてみました。
(羅美揺・村長のお話)
「昔は役場の所在地でした。湖口の古い町並みは台湾で最初の鉄道、キールンから新竹までの鉄道がしかれた関係で出来たんです。大湖口駅が設けられたのでね。ここの古い町並みは中華民国の初期、1911年以降に出来ました。列車が行き来するので賑やかになったんです。町並みはバロック様式の建築で大きいものです。問屋が多く、付近の農産品、まき、油、塩、米などはここを通して売られていったんです。ですから店は間口が広く、中二階があって、そこが倉庫になっているんです。」
「湖口老街」の繁栄は鉄道と共に去っていきました。1929年、湖口の駅は現在の湖口駅に移動し、新駅一帯は「新湖口」、旧駅のあった「湖口老街」周辺は「老湖口」と呼ばれるようになりました。人も、物も、全てが「新湖口」に移り、「湖口老街」のかつての華やかさは、次第に忘れ去られて行きました。
1940年、鉄道が去ったこの地に台湾の神父がやってきました。1950年代にはイタリア人神父が二人やってきて布教活動を始めました。「老湖口」に賛美歌が響き始めたのです。イタリア人神父の一人はここで8年間布教活動に携わりましたが、蓄えたお金をすべて使って1965年にかつての大湖口駅のあった土地を買い、1966年に教会を建てました。これが今の「老湖口天主堂」です。台湾がまだ貧しかった当時、この教会は地域の人々に食べ物を提供し、学生たちに勉強する場を与え、子供たちのための幼稚園も設けるなど、「老湖口」の中心的な存在でした。
しかし、また時代は移ります。信徒の減少にともない、1993年には閉鎖されるにいたりました。それではどうしてこの教会が現在の文化館になったのでしょうか。
(羅美揺・村長のお話)
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新竹県老湖口天主堂 |
「教会の建物には二つの価値があります。一つは昔の駅の跡地だということ。もう一つは天主教の歴史建築としての価値です。天主教はもう10年も20年も布教しておらず、別の場所に移りました。人も居なくなりすたれました。でも、やはり老湖口においてはランドマークなんです。人と落ち合うのもここがいい場所です。そこで、天主教の主教と相談して、地元のために再利用することにしました。内部を整理、補修して、今では“湖口の窓”と呼んでいます。」
「老湖口天主堂」は2004年11月に正式に開館し、2006年には歴史建築に指定されました。今では鉄道の駅があったことを伝えるため、玄関の外には古い駅を模した小さな待合室も作られています。「老湖口天主堂」は神の教えを広める場所から、地域の文化を伝える文化館として生まれ変わりました。一方で、教会内のマリア像や聖書の物語を表した木彫、イタリア人神父が編纂した台湾で唯一の英語版客家語(台湾第二の方言)辞書、これら様々な文物から当時の布教活動に思いをめぐらせることが出来ます。
(羅美揺・村長のお話)
「教会の中のマリア像はそのままにしています。マリアさまとキリストさまです。建物自体が歴史的な建築物です。また、文化や歴史の資料も展示します。歴史文物の紹介や展示スペースも強化しています。地元の芸術家が外国やどこかで撮った、良い写真など、ここで展示できます。政府の補助では、高齢者を対象にしたパソコン教室、子供たちの補習などをしています。地元の宗教と天主教がうまく溶け合っている原因は、クリスマスを道教の方式で祝っているからです。サンタクロースは龍、ドラゴンの踊りといっしょに福音を伝えるんですよ。」
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新竹県老湖口天主堂 |
羅美揺・村長や地元の歴史や文化の保存に努める人々の努力、地元住民の支持により、「湖口老街」を再生する事業は始まり、地元の「コミュニティー発展協会」も発足、「湖口老街」を代表する、アーチ型に連なるバロック様式の軒先が修復されました。古い町並みには新たな生命が吹き込まれ、往年の姿が再び甦ったのです。
「人々が通り過ぎて行った“道”とはまさに文化であり、人が住んだ“場所”は歴史である。」これは、羅美揺・村長の言葉です。羅・村長は、今後も様々な文化と歴史を大切に残していき、次の世代の人たちが、湖口老街に住めることを誇りに感じるようにしたいと願っています。
「老湖口天主堂」の住所は新竹県湖口郷湖鏡村湖口老街108号です。在来線の台湾鉄道の新竹駅から、新竹客運というバスに乗り換えて「湖口」というバス停で下車します。
開館時間は午前9時から午後5時まで、月曜日は休館日。入場は無料です。
(担当:上野重樹) |