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梅嶺美術館 |
台湾南部の嘉義県朴子市に「梅嶺美術館」はあります。梅嶺は人名で、嘉義県出身の画家・呉梅嶺氏を記念して作られた美術館です。梅嶺美術館は、画伯が100歳の誕生日を迎えた1995年7月11日に正式に開館しました。
嘉義は日本統治時代、文化活動が大変盛んで、特に絵画の面では優れ、「絵画の都」という異名があるほどでした。呉梅嶺氏は1897年に生まれ、2004年に107歳で亡くなるまで、生涯を通じて精力的に創作活動を続け、また、台湾の美術教育に多大な貢献をしました。その教育活動は日本統治時代、第二次世界大戦の時期、そして、戦後と、三つの異なる時代に跨り、多くの秀才を育て上げました。現在、台湾の美術界で活躍している著名な画家の多くが、かつて呉梅嶺画伯の教えを受けています。
(梅嶺美術館の管理運営を行う嘉義県文化局芸術センター展覧上演課の候彦良・課長のお話)
呉梅嶺・画伯は、嘉義県が誇る傑出した画家です。30歳前後で、嘉義・台南地区の画家で構成される美術団体・春萌会に参加、同会の絵画展に何度も参加しました。1930年には第4回台湾美術展覧会に入選、1940年には、台湾中部書画展で優秀作品賞を受賞しています。呉梅嶺・画伯の日本統治時代における創作点数は大変多いんです。コンクールにも多く参加し、他の嘉義県の画家たちと共に、台湾の絵画の世界で活発に活動していました。呉・画伯にとって創作のピークの時期と言えます。また、画伯はこの地の美術教育にも力を尽くし、多くの教え子を育てました。亡くなった今でも、画伯は多くの人々に愛され続けています。
それでは、この美術館はどのようにして建てられたのでしょうか。
(嘉義県文化局芸術センター展覧上演課の候彦良・課長のお話)
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梅嶺美術館 |
呉・画伯とその学生たちは毎年旧正月の時期に、絵画展を開いていました。しかし、当時嘉義には絵画展を開催できるような施設が整っておらず、会場は図書館などを利用していました。絵画展の理想的な会場を求め、また画伯の教育理念への感謝を表すため、学生たちは1984年、「梅嶺美術館」設立を目指し、「梅嶺美術文教基金会」を発足させました。地元の人々の熱心な支持の下、美術館の建設が始まりました。しかし、当時、物価の変動が大きく、計画が狂い、建設工事が半分終わったところで、資金が底を付いてしまったんですね。学生たちは困ってしまったわけですが、ある案を考えました。工事途中の美術館を嘉義県政府に寄付して、続きは政府が経費を都合してこの美術館を完成させるというのです。嘉義県政府もこれを受け入れ、予算を編成して、1995年に工事は終わり、呉・画伯の満100歳の誕生日のオープンにこぎつけました。「梅嶺美術館」は、生徒たちから画伯への、最高のバースデープレゼントとなりました。
中型の美術館「梅嶺美術館」は、空気の澄んだ静かで美しい、嘉義県朴子市芸術公園内に位置しています。隣は、故宮博物院の南部分館予定地となっています。呉・画伯の作品を中心に所蔵している他、優れた芸術家を招いて展覧会を行ったり、一般のアーティストによる個展開催も受け付けています。
(嘉義県文化局芸術センター展覧上演課の候彦良・課長のお話)
2階建ての美術館の総面積は約350坪、展示室は1階が180坪、2階が150坪です。展示作品は、絵画・書・写真・彫刻・陶芸・文物など、視覚的な芸術作品を中心としています。呉梅嶺・画伯の作品は63点前後あります。すべて、画伯から美術館に寄贈されたものです。館内には、呉梅嶺・画伯の特別展示室があり、画伯の所蔵作品の他、画伯が生前に使用していた身の回り品などが定期的に展示されています。画伯の作品が鑑賞できるだけでなく、その創作世界を存分に体感できるすばらしい空間です。
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梅嶺美術館 |
芸術教育に熱心だった画伯は、学校から定年退職してからも積極的に地元の活動に参加し、文化の基礎を耕し、種を撒き、その芽を次の世代へと伝えていきました。技術的なことを学ばせるだけではなく、ありのままのものから真実を感じ取り、真・善・美といった感情や徳を得て、その素直な気持ちを作品に表現することこそが美術である、というのが、呉・画伯の教育理念でした。
(嘉義県文化局芸術センター展覧上演課の候彦良・課長のお話)
開館時間は午前9時から午後5時までお昼の12時から1時半までは休憩です。毎週月曜日終日と、火曜日の午後1時半までは休館、入場は無料です。
美術館では、呉・画伯の理念を受け継ぎ、美術教育を広める為の様々な活動を行っています。地元の人々や美術に関心を持つ人々を対象に、定期的に絵画や書の教室を開いている他、年に一度、絵画コンクールを開催しています。「梅嶺賞」と呼ばれるこのコンクールには、全国の高校生以下の子供たちが参加します。コンクールを通して、作品を競い合うだけでなく、互いに交流することで、美術創作への意欲が刺激されるのです。こうした活動や質の高い展示作品によって、この美術館が、地元のみならず、台湾南部地域における芸術の中心になることを願っています。
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梅嶺美術館 |
梅嶺美術館の住所は嘉義県朴子市山通路2-9号。アクセスは、在来線の台湾鉄道・嘉義駅からバスで50分ほど、あるいは台湾高速鉄道・嘉義駅からバスで20分ほど、いずれも「東石国中」バス停で下車です。開館時間は午前9時から午後5時までお昼の12時から1時半までは休憩です。毎週月曜日終日と、火曜日の午後1時半までは休館、入場は無料です。
文化・芸術教育には長い時間と蓄積が必要です。この「梅嶺美術館」は朴子市民に「美」とは何かを感じることの出来る空間を提供し、また呉梅嶺・画伯が生涯をかけて育てた美術教育の若い芽を受け継いでいるのです。
(担当:上野重樹) |