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「偏遠医療宣教歴史見証文化館」と「中元祭祀文物館」 (2008.11.2)

 
     
 

2. 中元祭祀文物館

 

 

中元祭祀文物館

毎年旧暦の7月には、台湾各地で中元普渡、身寄りのない死者を弔う活動が行われます。中でも、基隆の中元普渡は台湾最大の規模で、かつ歴史が最も長いものとして知られています。台湾最北端に位置する基隆は、かつてはひなびた海辺の町でした。清の時代に、中国大陸福建省の漳州や泉州からたくさんの人たちが移民して来ましたが、宗教、出身地の違いや水源、土地をめぐって対立し、武力衝突が起きて双方とも多くの死傷者を出しました。その後、土地の有力者が調停して、毎年旧暦715日には普渡を行い、犠牲者を追悼することになったのです。

 

(「中元祭祀文物館」のボランティア、民俗専門家の謝源張さんのお話)



 

中元祭祀文物館

「基隆中元普渡の起源は、清の時代の1851年にさかのぼります。基隆に住んでいた漳州人と泉州人は、土地や飲み水をめぐって衝突し、108人の犠牲者を出しました。1854年になって、土地の有力者が「衝突の代わりに祭典をと提唱し、順番に普渡を主催することになりました。最初は11種類の苗字ごとに順番に行っていましたが、1954年になってその他の苗字が合同になった“連姓会”が主催団体に加わりました。そして、1980年代に李、郭、黄の苗字が“連姓会”から独立して、現在は15の単位が順番に普渡を主催しています。基隆の普渡が他の地域と異なっているのは、基隆では同じ苗字の人たちが順番に主催しているということと、今年まですでに154年間、全く途切れずに行っていることです。」


 

毎年旧暦7月になると、基隆では154年間伝わってきた荘厳な中元の祭典を繰り返します。一ヶ月間町中が普渡一色になります。これは基隆が一番にぎやかな時期で、毎年多数の観光客が見学に訪れます。

 

(基隆文化局の楊桂杰・局長のお話)

 

「中元祭は基隆で最も重要な民俗活動で、観光局から全国12大観光活動に指定されていますし、行政院文化建設委員会から国家重要文化資産の国定民俗に指定されています。中元祭は毎年旧暦7月に一ヶ月間行われ、その間の基隆はとてもにぎやかになります。ここ3,4年、中元祭の期間中に基隆を訪れる人数の統計を取っていますが、来訪人数だけでなく、その時期のホテルの稼働率や消費金額などが明らかに成長しています。他の時期に比べて、その期間中は数倍にもなります。私たちはお客様に、中元祭を見るだけでなく、参加していただき、また有名なナイトマーケットや、宿泊、飲食などのサービスも含めて、総合的な旅を楽しんでいただきたいと思っています。」
 

中元祭祀文物館

一般の人たちに中元祭の歴史や祭典の儀式、法器などについて理解してもらうために設立された「中元祭祀文物館」は、毎年、中元普渡が行われる中心地、中正公園の中にある「主普壇」の一階にあります。「主普壇」という中元普渡のための専用の建物があるのは、台湾で基隆だけです。「主普壇」は旧暦715日の点燈儀式のときには、煌びやかに飾り付けられます。写真や映像を使った「中元祭祀文物館」の展示はその7月の華やかな基隆が体験できるようになっています。

 

(「中元祭祀文物館」のボランティア、民俗専門家の謝源張さんのお話)

 


 

中元祭祀文物館

「基隆の中元祭は154年間全く途切れずに行われていますが、実はその内容を理解している人は多くありません。というのは、主催する団体は15年に一度しか順番が回ってこないので、順番が回ってきたときには前回経験のある人たちが残っているとは限らないからです。それに、主な担い手である宗親会のメンバーは高齢化が進んでおり、若い人は参加しません。また、今は簡略化の傾向があって、人情味や智慧のある部分が省略されてしまうのは非常に残念です。そのため、基隆市文化局は『中元祭祀文物館』を設立し、写真や彫刻など中元祭に関する資料を展示して、中元祭の全貌を市民に理解してもらおうとしています。基隆中元祭は非常に意義がありますが、最も重要なのは、『各エスニックグループの融合』『世の乱れを悲しみ、民の困窮を哀れむ』『心を込めて祖先を祭祀する』、この3つの精神です。」

 

基隆中元祭は民間の小さな祭祀から始まり、全国的な観光イベントになりました。スタークルーズの豪華客船も基隆港に寄港しており、外国の観光客も増えています。

 

(基隆文化局の楊桂杰・局長のお話)

 

「現在、私たちの基隆中元祭は、全国で唯一、行政院文化建設委員会から国家重要民俗の指定を受けています。他の地域の民俗活動が指定を受けられない中、基隆の中元祭だけが指定されているのはなぜでしょうか。国が重視するのは、その民俗活動の背後にある文化的な意義であり、その文化価値であり、歴史の長さですが、特に重要なのはそこに含まれた文化的な意義です。基隆の中元祭はそのにぎやかさが重要なのではなく、祭典の背後にある文化価値にこそ意義があるのです。当然私たちは自己満足するのではなく、指定を受けたことでより重い責任とプレッシャーを背負っています。この重要な中元祭を、その文化価値を、いかにして保存し、研究し、伝承していくのか。いかに観光活動に運用するのか。それができてこそ、基隆中元祭が長く続いていくことになるのです。」

 

基隆「中元祭祀文物館」は、基隆港を見下ろす中正公園にあり、月曜日休館、入館は無料です。
 

来年の旧暦7月には、あなたもぜひ基隆で、にぎやかで文化的意義のある旅を経験していただきたいと思います。

 

(担当:上野重樹)

 

1. 偏遠医療宣教歴史見証文化館

 

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