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世界宗教博物館 |
台湾全域には地方の文化を紹介する文化館が273ヶ所もあります。テーマは様々で展示品も多岐に渡っています。そこに秘められた文化の深さと精神的なパワーは、台湾本来の文化の美しさをさらに輝かせてくれます。今週は世界宗教博物館にスポットを当ててみたいと思います。
「愛と喜びの世界へようこそ、ここで貴方は異なる宗教を通じて、自分を更に元気付け、自分の人生を更に豊かなものにすることが出来ると思います。」
この方は心道法師、「世界宗教博物館」の創設者で、台湾の著名な仏教団体、霊鷲山の創設者でもあります。心道法師のように、各種の異なる宗教を受け入れる宗教団体のリーダーは世界でめったに見られません。
それぞれの宗教、宗派はそれぞれ、自分たちこそが本当のものだと信じていることから、他の宗教に対して偏見が生じ、衝突と戦争につながったといいます。心道法師は2001年、世界で唯一の「世界宗教博物館」を創設しました。心道法師は「世界宗教博物館」を通じて、参観者が異なる宗教に対する認識を深め、各宗教の相違を理解し、それに対する包容心と尊重を学び、更に一歩進んで愛と平和に満ちた世界を築き上げようとしています。各種の宗教を一堂に会することで世界の平和を実現しようとする、心道法師の精神に感動して、無神論の台南芸術学院前学長、漢宝徳・教授は世界宗教博物館の初代館長を引き受けました。
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世界宗教博物館 |
心道法師は「愛と平和」を主旨として、この「世界宗教博物館」を創設しました。心道法師は寛容と博愛を主張しています。と言いますのは、心道法師は宗教と宗教の間では共存できない要素がたくさん存在していることを理解しているからです。多くの戦争は宗教のために起こりました。宗教戦争は人類に大きなダメージを与えましたが、どの宗教も実は、「愛」を出発点としています。宗教自体はすばらしいものですが、他の宗教を受け入れられないという、非常に残念な点があります。
心道法師は、これではいけないと思っているんです。心道法師は、すべての宗教は互いに包容し、理解を深め、更に一歩進んで平和と愛に満ち溢れた世界を築き上げるべきだと思っています。これは非常に偉大な理想だと思います。私が館長のポストを引き受けたのも、その偉大な理想に感動したためです。「世界宗教博物館」は他の「宗教博物館」とは大きく異なります。「宗教博物館」は単一の宗教を紹介する博物館であるにすぎませんが、「世界宗教博物館」は各種の宗教を紹介する博物館で、スケールがずっと大きいんです。
「世界宗教博物館」の漢宝徳・初代館長は、同博物館の経営理念について以上のように紹介してくれました。
2000坪に上る「世界宗教博物館」は台北県永和市内の賑やかなデパート、太平洋百貨店の隣のビルの7階にあります。永和市は台北市のベッドタウンです。国際社会への進出を視野に入れた創設者、心道法師はアメリカニューヨークの著名な展覧設計会社とアメリカハーバード大学の世界宗教研究センターの教授に博物館の設計などを委ねたほか、アメリカのハーバード大学出身の台湾の著名な建築家、漢宝徳氏を館長として招聘しました。漢宝徳・館長は、同博物館は国際社会への進出を視野に入れながらも、台湾内部にも目を向けなければならないと主張しています。
この博物館の設計などはどれも非常にすばらしく、格調高いものです。しかし、一つ問題があります。それは、宗教と宗教との間の問題が感じられない点です。一般の参観者は宗教間の相違点を感じることが出来ないわけです。台湾の人達は、宗教と宗教との間に問題があるとは思わないんですね。そうしますと、「世界宗教博物館」の存在意義も薄くなります。言い換えれば、みんなはこれは私が信仰している宗教ではないのに、なぜ、ここを訪れないといけないのか、と思うわけです。そうしますと、誰も来ません。つまり、目指す目標が高いことが、逆に参観者との距離を遠くしているわけです。これが、私がここに来た当初の感想でした。一つの博物館は他の社会教育の使命も果たさなければいけないと思ったのです。そして、使命感以外に社会大衆に対しても、ある程度の責任を負わなければならないと実感しました。
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世界宗教博物館 |
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世界宗教博物館での参観はまるで宗教の旅のようです。先ほども申し上げましたが、世界宗教博物館はデパートの隣のビルの七階にあります。エレベーターに乗ると、音楽と各種の音が聞えてきます。参観者はこういった音に包まれる中で、だんだんと上昇して行ってまるで人間界を離れて別世界に入るようです。エレベーターを出ると、まず、目に入ったのは「水のカーテン」です。
同博物館教育推進部の解説員、王恵娜さんによりますと、博物館に入ると、非常に珍しい体験をすることが出来ます。例えば、エレベーターに入ると、音声が聞えてきて、そして照明もあります。参観に来た児童に、私たちのエレベーターにどんな特別なところがあるかと聞いたら、児童らは、まるで天国に行ったような感じだと率直に答えてくれています。
エレベーターを出ると、まず、水のカーテンが見えてきます。これは宗教の浄化儀式の象徴です。世界の大多数の宗教は水で心を清めています。私たちは子供たちが水のカーテンに手を差し伸べるよう薦めます。大人だったら、博物館を参観するとき、目で見るだけですが、子供が違います。よく手で触ります。実際に手で水のカーテンを触ると、本当に水がありますねと歓声をあげます。
水のカーテンで手を清めたあと、「ピルグリム・ウエー」に辿ります。ピルグリムは聖地への巡礼の巡礼の意味です。異なる宗教の巡礼者の足跡を辿っていくと、「黄金の間」と名づけられたロビーに出ます。目の形をしたロビーは、智慧の開眼を象徴します。天井には金色の梁が二本あって、その上には14種類の文字で次の内容が書かれています。「愛はわれわれの共同した真理、平和はわれわれの永遠の悲願」、これこそ、世界宗教博物館が創設された主旨です。
「黄金の間」というホールの床にはトーテムが描かれています。世界各地の宗教における時間と空間の概念をトーテムで表現されています。
続いては学生の間で高い人気を博している、「生命の旅」と名づけられたホールです。ここでは世界の各民族の風俗習慣などの文化が伺えます。われわれは生命を誕生、成長、壮年、老年、死亡と死んだ後の世界という五つの段階に分けて紹介しています。ここでの展示によって学生さんに生命を体験し、生命を尊重し、生命を愛し、声明を楽しむという非常に重要なことを学ばせます。
どの宗教も生命の価値、生命の意義を追求しようとしています。これこそ、宗教が存在している意義でしょう。個別の宗教の特色を除いてその本質に立ち返ると、どの宗教も生命、及び生命そのものの尊さを認識し、生命を理解しようとしていることに気付くでしょう。ですから、われわれは生命の各プロセス、各宗教の精神、生命のあり方などを展示しているのです。そのため、私は生命教育をこの博物館が背負う社会任務にしてもいいのではと考えています。このように考えるとわれわれの重要性が分かってきます。このような任務を背負う博物館は他にはないでしょう。今の社会では生命が非常に重視されていますよね。生命教育もみなが関心を寄せる議題となっています。今の社会で起きているさまざまな問題は生命に対する理解に欠け、愛の心が足りないことに起因するものが少なくありません。現段階の台湾で、最も必要な教育は生命教育です。われわれはこの生命教育を使命として努力し、それを目標にし、次第にこの影響力を生かしていきたいと思っています。ですから、われわれは学校に行き、学生を博物館に案内します。小中学校の授業にはいずれも生命に関する教育があります。でも、先生はどうやってそれを教えるか、迷っているようです。ですから、われわれは計画的に先生を館内に招き、われわれの努力方向を教えているのです。
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世界宗教博物館 |
次にご案内するのは「世界宗教展示ホール」です。ここではキリスト教、イスラム教、仏教、道教、ヒンズー教、ユダヤ教、シク教などの世界の10大宗教の文献、音楽、儀式に関する資料などの文物が展示されているほか、各宗教の祭壇などの代表的な建築物の縮小模型も展示されています。
われわれの展示は二階に分かれて行われています。このフロアは世界の各宗教の紹介です。異なる宗教を一堂に会して参観者は一度に各種の宗教を理解することが出来ます。しかし、宗教は難しいものです。いくつかの展示品や神様の肖像だけを使って理解してもらえるものではありません。ですから、私は考えました。何か、この博物館に対して更に印象を深められるような、実際に体験できるものはないかと。この博物館のスペースはあまり広くないため、われわれは各種の宗教建築の模型を作りました。宗教建築を見ると、その宗教のことを思い出すでしょう。長年、博物館で仕事をしてきた私です。参観者が建築の模型に対して特に興味を持っていることは分かっています。たくさんの国に、「小人の国」というテーマパークがある理由です。建築物をゲーム化し、それを玩具、おもちゃにしました。ここには教育意義もありますし、またこれで、宗教をはっきりと判別することも出来ると思います。ですから、私は各宗教の代表的な建築の模型を作ることにしたんです。
近年、世界各地では天災と人災が相次ぎ、脆弱な生命が大きく脅かされています。こうした中で、愛と平和の世界共通の価値、及び生命教育の推進が一層重要になってきています。世界宗教博物館の広報担当の呉文礼さんは次のように述べました。
ミャンマーのサイクロンと中国大陸の四川省の大震災が発生したとき、心道法師は信者に、家は破れてもいいが、心が破れてはいけないと話しました。つまり、精神面の助けが非常に大切だという意味です。例えば、ミャンマーのサイクロンのとき、われわれは現地の政府機関の許可を得て最初に医療チームを率いて被災地に赴いた救援隊でした。被災地に行きますと、自らの災難を素直に受け入れている被災者に出会います。例えば、サイクロンのために夫を失ったあるお母さんは、子供を救うため、自分は水中に体を沈めながら、ずっと両手で子供を高く差し上げていました。この親子は三日後、救援隊に救われましたが、お母さんは耳が聞こえなくなりました。でもこのお母さんは、子供が助けられてとても喜んでいました。中国大陸の四川省での大震災もそうです。多くの感動的な場面を目にしました。災害救助の時には、被災者を救うだけではなく、救援隊のメンバー、そして被災してはいないものの、災難を目にした人に対するケアも必要かもしれません。
世界宗教博物館を訪れるとき、各宗教の祈祷の声が一斉に聞えてくると、心が和むと同時に、同博物館の創設者、心道法師が主張している、愛と平和に満ちた世界を構築する重要性も一層分かってくるでしょう。
同博物館の開館時間は毎週月曜日を除く日の午前10時から午後5時までです。入場料は常設展の参観のみでしたら、台湾元150元、児童展のみなら、台湾元100元、常設展と児童展をともに参観したい場合、入場料が台湾元200元です。アクセスについてですが、台北市内の新交通システムMRTの「南勢角線」に乗って、頂渓駅で下車、一番出口前で太平洋百貨店の無料バスに乗って宗教博物館で下車してください。
(担当 王淑卿)
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