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台湾塩博物館と都蘭紅糖文化芸術館    
     
 

2. 都蘭紅糖文化芸術館

 

 

都蘭紅糖文化芸術館

台湾本島の東海岸に沿って南下し、台湾東部、台東県都蘭村に入ろうかとするとき、遠くに高い煙突が見えてきます。ここが都蘭紅糖文化芸術館です。この紅糖というのは赤いサトウキビからとった砂糖のこと、黒砂糖です。ここにはかつて、新東砂糖工場がありました。日本統治時代に建てられ、1970年代には紅糖の生産高で民間としては台湾一で、都蘭地区での経済の中心でした。その後、時代が変わり、製糖業は競争力を失ったため1991年には生産を停止しました。煙突からサトウキビの香りが漂うこともなくなったのです。

しかし、この製糖工場は長い歳月と戦争の洗礼を受けながら、工場と倉庫をそのまま残しており、大変ユニークな空間です。都蘭で生まれ育った木彫りの芸術家、希巨・蘇飛は自分の作品を保管する場所を探していました。彼はこの空間を気に入り、借り受けて2002年に都蘭紅糖文化芸術館とし、歴史ある製糖工場に新たな使命を与えました。砂糖を作ることから、文化アイデア産業の普及に任務を改めたのです。

(都蘭紅糖文化芸術館の希巨・蘇飛・館長の話)

ここに来るまで私はいつも田んぼや山を自分のワークショップにしていました。時には大きな作品を作りますので、広いスペースが必要になります。そこでまずここの倉庫を一つ、何人かの友人と借りることにしたんです。すると、他の芸術家たちもここで倉庫を借りるようになって、今のような規模になったんですよ。

5年の運営を経て、都蘭紅糖文化芸術館は地元の文化資産を多く保存するようになりました。また、数多くの芸術家たちがここに集まり、創作活動に励んでいます。館内では製糖工場としての設備や器具をそのまま残している他、四つの倉庫は、コミュニティー文化歴史館、希巨・蘇飛ワークショップ、パフォーマンス用ステージ、芸術作品展示エリアなどに分かれています。

(都蘭紅糖文化芸術館の陳珊珊・執行長の話)

日本統治時代に建てられたので、その時代の特色が残っています。また、かつての大きな器具もそのままです。ここには四つの大きな倉庫があり、それぞれ100坪あります。真ん中には広場があり、広場の前にはステージがあります。第一倉庫は現在、館長の希巨・蘇飛の個人的な作業場としています。木彫りですね。第二倉庫は不定期な展示スペースです。音楽や木彫作品など、様々なタイプの芸術作品を展示できます。今は地元のものを中心にしています。第三倉庫は都蘭村落の原住民族、アミ族の文化を紹介しています。第四倉庫には今、台湾南部の屏東県から原住民族パイワン族の芸術家が来て使用しています。

都蘭紅糖文化芸術館

砂糖工場前方の広場は、地元の原住民族アミ族が毎年、大きなお祭り、豊年祭りを行う場所です。東台湾オーストロネシア文化フェスティバルと、近年盛んになりつつある都蘭文化芸術フェスティバルもここで行われます。また、都蘭山村落劇団がここで練習する姿も見られ、多くの観光客を引き付けています。砂糖工場は都蘭における芸術文化の中心になっているのです。

 

(都蘭紅糖文化芸術館の陳珊珊・執行長の話)

7月中旬には収穫を終えての豊年祭りがあります。豊年祭りの内容は広い範囲にわたっており、歌や踊りだけではありません。円形劇場では若者が踊り、別の集会所ではお年寄りを中心に敬老の儀式を行います。それぞれの場所で異なる活動が行われますが、すべての意義は、まず、天と地に感謝すること、次に、お年寄りを敬い、賢者を尊ぶこと、第三に、若い世代が文化の伝承を学ぶこと。これらがとても生き生きと行われます。芸術活動も大変豊富ですが、これらはすべて10数年かけて培われてきたものです。

緑豊かな都蘭山を背に、広大な太平洋を前にする都蘭村落にはすばらしい自然環境と、貴重な原住民族の村落の遺跡があります。近年では多くの映画監督がここへ来て撮影しているほか、芸術家たちもはるばるここへやってきて根を下ろします。偶然ここを訪れたカナダ生まれの国際的な音楽家、マッシュ・レインはここを愛し、都蘭の音楽を愛しています。

都蘭紅糖文化芸術館に集う芸術家たちが最も願っていることは、原住民族の伝統を守り、都蘭地区の生態を維持することです。

 

都蘭紅糖文化芸術館

(都蘭紅糖文化芸術館の希巨・蘇飛・館長の話)

ここを借りて活動しているのは、村落と製糖工場を結びつけるためです。この工場は昔、私たちの経済的なよりどころでした。多くの人がここで働きました。これらは皆、彼らの、お年寄りたちの思い出なのです。私たちが借り受ける前はお化け屋敷のようで、皆、怖がって足を踏み入れることもありませんでした。でも、今では皆がここに出入りするようになりました。特に何かイベントをするときです。でもそうなると土地の値段を吊り上げようとする人も出てきます。知本温泉を例に取ると、多くのホテルが立ち並ぶようになりましたが、もうけたのは地元の人達ではありません。村落の原住民族たちが得たのは排気ガスだけだったのです。

都蘭紅糖文化芸術館は民間が経営する地方文化館ですが、参観は無料です。ここで芸術家、行楽客、地元の人達は融合しており、年中無休です。都蘭では時間は意義を持たず、すべては縁に委ねられているのです。

都蘭紅糖文化芸術館の住所は、台東県東河郷都蘭村61号。台東を訪れる際、都蘭村落の高い煙突が見えてきたら、ぜひ、この砂糖工場の入り口にある喫茶店に足を止めてみてください。そして、芸術家たちがどうな創作活動をしているのかを見、地元の原住民族の人達に村の物語を聞かせてもらってください。そして、ゆったりとした時間と、自由自在な気持を学んでいただきたいと思います。

 

(担当:上野重樹)

 

1. 台湾塩博物館

 

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