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吉貝石滬文化館と大埔美館(蛍生態テーマ館) (2008.8.31)  

 
     
 

1. 吉貝石滬文化館

 

 

吉貝石滬文化館

台湾全域には地方の文化を紹介する文化館が273ヶ所もあります。テーマは様々で展示品も多岐に渡っています。そこに秘められた文化の精髄とパワーは、台湾本来の文化の美しさをさらに輝かせてくれます。今週は台湾南部の離島・澎湖島にある「吉貝石滬文化館」にスポットを当ててみたいと思います。

 

「吉貝石滬文化館」は、澎湖諸島の最北端の「吉貝島」にあります。20041224日に開館した同館では、澎湖で250年間受け継がれてきた伝統漁法・石滬の文化を紹介しています。現地は冬の間は強風の影響を受けやすいため、開館期間は毎年4月から10月までのみとなっています。開館期間中の定休日は毎週水曜日です。入場は無料、事前予約すればガイドによる案内を頼む事ができます。

吉貝石滬文化館

MUSIC 外婆的澎湖灣―

 ただいまお聴きいただいている曲は「おばあちゃんの澎湖湾(外婆的澎湖灣)」です。歌い手は澎湖出身の男性シンガー・潘安邦です。この曲は澎湖の知名度を一気に押し上げると共に、潘安邦さんもこの歌のおかげで、台湾では知らない人はいないほどの人気歌手になりました。澎湖には美しい青空、白い砂浜、貴重な玄武岩のほか、私たちの祖先の智慧を象徴する独自の「石滬」文化が息づいているのです。

さて、石滬とは古くから伝わる漁法の一種で、湾内に薄い石材を積み上げ防波堤状にし、干潮時にそのつつみの内側に残った魚を捕獲するというトラップ漁法です。これは、満潮時に遠浅となり、浪が強く、干満の差が激しく、更に石材の確保が容易なところでのみ発達した漁法であり、人間の智慧と生態保護が融合した伝統漁法です。石滬は、台湾の他、沖縄列島を含む日本、および太平洋の一部の島々でのみ行われており、中でも台湾の澎湖の石滬が最も発達しています。石滬は現地の住民にとって冬の最も重要な食べ物の供給源となっています。同文化館の設立の提唱者で、元中学校教師の林文鎮さんは、石滬について次のように説明しています。

吉貝石滬文化館

(林文鎮さんの話)

その昔、澎湖の漁民がまだ貧しくなかなか船を持てなかった時代、石滬はこの地で冬場における最も重要な漁法の一つでした。澎湖では、毎年旧暦815日の中秋節をひとたび過ぎれば、およそ5ヶ月間に渡って大変強い北東季節風が吹き続け、この時期は例え、船があるとしても海に出るのは非常に難しくなります。唯一漁が行えるのは、岸からおよそ1キロ程度の浅瀬となる部分だけです。澎湖では、清朝のころから、各島嶼の付近の浅瀬に石を積み上げて罠を仕掛け、魚を捕るようになりました。これは過去、澎湖の住民のもっとも重要な動物性たんぱく質の供給源となっていました。

2005年、吉貝ツーリストセンター内に石滬をテーマとした地方文化館「吉貝石滬文化館」が設立されました。澎湖で一番有名な石滬と言えば、石が二つのハートの形に美しく積み上げられている、七美島の「双心石滬」です。しかし、石滬の技術と文化について言えば、一番に挙げられるのはなんと言っても吉貝でしょう。

 「吉貝石滬文化館」は展示面積が30平方メートル程度と小規模ではありますが、吉貝島周辺に広がる、凡そ900ヘクタールにも及ぶ100ヶ所の石滬はすべて同館の屋外展示エリアとなっています。この文化館の成り立ちもまた特別です。同文化館は現地の住民がその設立を発起したのではありません。石滬を研究しているほかの地方自治体の人が現地の住民に対して、祖先が残した貴重な伝統文化財に対する重視を喚起したのです。

 機械のなかった時代、ややもすれば数百メートル、時には1000メートルを超える長さに渡る石滬は、すべて漁民の手作業で造られました。まず出資者を募り、血縁者や近隣の人同士が、10数人から30人程度集まり、作業を開始します。一つの石滬の完成には、通常で数年、時には10年以上の歳月を費やします。完成後、出資者たちはくじ引き方式により、向こう一年間、どんな順番でその石滬を使って漁をするかのサイクルを決定するのです。

現在、澎湖各地には石滬が凡そ600ヶ所あります。そのうち、100ヶ所は吉貝島に集中しています。台湾一と誇るその数と密度から、「石滬の故郷」と呼ばれても過言ではないでしょう。しかし、漁業技術の進歩に伴い、石滬の利用が次第に少なくなり、加えて石滬は補修が難しく、所有権が不明瞭などの欠点があることから、石滬漁業は次第に廃れ、石滬を利用した漁家は近年、減少の一途を辿っています。文化館では開館後、石滬漁家を援助し、石滬の生態や景観、文化などを観光資源とし、地域を活性化させようと様々な試みを行っています。

(林文鎮さんの話)

私たちは、現行の石滬の補修援助に力を入れてきました。また同時に、熟練した補修職人を文化館の講師として招き、石滬補修の研修を開催したのです。若者向けの、夏休みを利用した一週間の体験活動を、三年間に渡り続けました。その努力の甲斐あって、200712月にようやく、「石滬ガードチーム(保滬隊)」の設立に成功しました。補修技術に精通した漁民から成るこの組織は、既に補修を終えた石滬をそれぞれ分担して管理する事、また、各石滬の捕獲量など、石滬に関する情報を日々発信する事などをその目標としています。これらの情報は、文化館に資料として残す事になっています。

 夏休み期間中は、澎湖が最も賑わう季節です。飛行機はいつも満席です。天候の影響で、この魅力いっぱいの「吉貝石滬文化館」は、毎年41日から1031日のみの開館となっています。民宿のオーナーは、個人旅行方式での吉貝観光を勧めています。現地でレンタルしたオートバイで自然いっぱいの吉貝島一周を楽しむのもよし、澎湖で最も美しい吉貝ビーチをゆっくりと散歩するのもよし。どこまでも青く透き通る海と紺碧の空と、時空を超えた人知と自然の結晶――石滬が織り成す風景は、日常の喧騒を忘れさせ、心に新しい世界をもたらしてくれる事でしょう。

 なお、「吉貝石滬文化館」のURLは<http://shihu.org.tw

(担当:荘麗玲)

 

2. 大埔美館(蛍生態テーマ館)

 

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