アメリカの半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の黄仁勳(ジェンスン・フアン)CEOは22日午前9時過ぎ、台湾北部の台北松山空港に到着しました。今年3度目の台湾訪問となります。
フアン氏はメディアのインタビューに対し、今回は半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)へ感謝を伝えるため台湾を訪問した。NVIDIAの次世代人工知能(AI)チップのプラットフォームである「Rubin(ルービン)」の6種類の新しいチップである、新しい中央演算処理装置(CPU)、新しい画像処理装置(GPU)、新しい拡張NVLinkスイッチ、新しいネットワークチップ、新しいネットワークスイッチ、そしてシリコンフォトニクスプロセッサーはすでにTSMCに託されており、業務に携わるTSMCのすべてのスタッフが日々尽力していることに感謝を伝えるために訪れたと述べました。
アメリカがNVIDIAの中国市場向けAI半導体「H20」に対する輸出規制解除を発表したものの、売上の15%を納付する必要があるとの情報がある他、中国政府も一部企業に対し、セキュリティ上の懸念を理由にH20チップの使用を控えるよう勧告しているとの情報も出ています。これに関し、フアン氏は、H20にはいかなるバックドアも存在せず、過去にも現在にもそのようなものはない、と回答。さらに、中国向けの新たなAIチップを開発しているのかという質問に対しては、現時点で語るのは時期尚早だ、それはアメリカ政府の判断にかかっており、NVIDIAが決定することではない、と述べました。
フアン氏はまた、アメリカ政府およびトランプ政権に対し、NVIDIAのH20チップの中国への輸出許可を承認してくれたことに深く感謝していると述べました。そして最近、中国側からチップの安全性についていくつかの問題が提起されたが、NVIDIAはすでに非常に明確に説明していると強調。そして、我々が中国政府に提供した回答が十分なものであることを願っている、と語りました。
さらに、23日に、南部・屏東県にある第3原子力発電所の再稼働の是非を問う住民投票が行われることから、台湾が原発を必要としているかどうかについても問われました。フアン氏は、世界は現在新たな産業革命の幕開けにあり、人工知能(AI)はあらゆる場面に存在するようになる。それはあらゆる産業の生産性を高め、世界はこれまで見たことのない数多くの新しい応用を生み出すだろう。そして、この新興産業には一つの工場、すなわち“AIファクトリー”のような工場が必要だ。これが世界の新しいインフラ施設に力を与えることになり、台湾にとっても絶好のチャンスだと回答。
また、NVIDIAは現在、電子機器受託製造サービス(EMS)世界最大手・鴻海(ホンハイ)精密工業と協力してAIファクトリーを建設している。これは台湾初のAIファクトリーだが、決して最後の一つではない。これらのAIファクトリーにはエネルギーが必要であり、原発はそのための優れた選択肢だと述べました。
フアン氏はさらに、エネルギーがなければ産業の成長はなく、エネルギーがなければ活力も生まれない。だからこそ人類にはエネルギーが必要であり、産業にもエネルギーが必要であり、自動車にもエネルギーが必要なのだ。私たちは世界を動かすためにエネルギーを必要としている。そのため、これは台湾にとって全く新しい巨大なチャンスだ。私は本当に、あらゆる形態のエネルギーが探求されることを望んでいる。現在、優れたクリーンカーボン技術や持続可能なエネルギー技術が数多く存在している。太陽光や風力発電もある。そして原子力発電は極めて優れた選択肢の一つなのだ、と述べました。
インタビューの中で「TSMCに何か緊急の問題があったのか」と質問された際、フアン氏は「いいえ、ただTSMCのリーダーたちと一緒に夕食を取り、感謝を伝えたかっただけだ」と答え、今回の台湾訪問では数時間しか滞在せず、夕食を終えた後にはすぐに台湾を離れる予定だと明らかにしています。また、「TSMCは本当に信じられないほど素晴らしい企業だ」と繰り返し強調しました。
アメリカ政府がTSMCへの出資を提案していることについて問われると、フアン氏は「TSMCは人類の歴史上、最も偉大な企業の一つだ。TSMCの株を購入しようとする人は、誰であっても非常に賢明な人物だと思う」と答えるにとどまりました。
(編集:豊田楓蓮/中野理絵/本村大資)