頼清徳‧総統は先日、「台湾の盾(T-Dome)」防空システムを構築すると表明しましたが、外部からは、大量の防空ミサイルを配備すれば中華民国国軍が現在推進している「非対称作戦」の方針に反するのではないかとの疑問が出ています。
国防部(防衛省)の顧立雄‧部長(大臣)は13日、頼‧総統が指しているのは、実際には「台湾に既に存在する複数の防空兵器の探知システムを統合し、効果的な多層防空体制を実現すること」だと述べました。
頼清徳‧総統は10月10日の中華民国の建国記念日「双十国慶節」祝賀大会で発表した演説の中で、台湾の主要都市や重要施設の空域の安全を確保するため、イスラエルのミサイル防衛システム「アイアンドーム」の台湾版である「台湾の盾(T-Dome)」を構築すると発表しました。しかし、中国人民解放軍の戦力の質と量が台湾を遥かに上回る中、大量の資源を費やして防空システムを構築し、隙のない防御を実現することは、台湾が現在進めている「非対称作戦」の国防方針に反するのではないかとの疑問が出ています。これに対し、顧立雄‧国防部長は13日、立法院(国会)で取材に応じた際、頼‧総統が指しているのは主に探知システムの統合だと述べました。
顧‧国防部長は、国軍の各種防空兵器システムは順次調達・構築中だ。頼‧総統の目標は、各種ミサイルシステムの探知能力を統合し、効果的で多層的な防空体制を実現することを指している。そして、このような指導原則は、当然「非対称作戦」の目標にも合致していると説明しました。また、「仮に探知設備を統合しなければ、これらの対弾道ミサイル、対航空機、対ドローンの防空ミサイルが効果的に統合されないため、高効率の迎撃や効果的な火力調整配分を実現することはできない」と述べました。
顧‧国防部長はまた、国軍が今後構築する関連レーダーシステム、ミサイル発射システム、対ドローンシステムなども、高機動性・高生存率の方向で構築を進めていく。これもまさに非対称作戦の概念に沿って発展しているものだと補足しました。
「台湾の盾」計画が大量の国防予算を消費するのではないかという疑問の声に対し、顧‧国防部長は、防空システムの構築案は継続的に進められているため、特別に多額の支出が発生することはない。また、年末に提出予定の「非対称作戦及び作戦強靭性特別予算」には、関連する防空兵器システムも含まれることになると指摘しました。
一方、頼‧総統が国防予算を増額し、「台湾の盾」の構築を加速させることについて、アメリカ国務省は12日、台湾の国防支出増額の約束を強く支持すると表明したほか、アメリカの最優先任務は台湾海峡の安定を維持することであり、台湾がその脅威に見合った自衛能力を確保できるよう、法に基づいた支援を行うと述べました。
また、アメリカ国防総省の国防安全保障協力局(DSCA)は2024年10月末、台湾へ3つの先進地対空ミサイル・システム「NASAMS(ナサムス)」、3つのセンチネル・レーダー (AN/MPQ-64F1)、および2種類の新型防空レーダーと100発以上の射程延長型先進中距離空対空ミサイル(AMRAAM-ER)などの売却を発表しました。
このうち、3つの「先進地対空ミサイル・システム」は「台湾の盾」防空システムにおいて重要な役割を果たすようになるということです。台湾国際放送の運営母体である中央放送局の番組「縦横天下」は2024年11月、軍事専門家にインタビューを行い、このシステムの優位性と機能を分析しました。台湾が配備を完了すれば、中枢防衛および北部‧台北首都圏の防衛能力強化に大いに役立つとしています。
(編集:許芳瑋/豊田楓蓮/本村大資)