頼清徳・総統は4日、台北市で開かれた「資産運用を強化し、黄金時代を迎える」と題するフォーラムに出席し、「アメリカにはアメリカの『ゴールデンエイジ(黄金時代)』がある。台湾にも自分たちの黄金時代が必要だ」と述べ、「アジア資産運用センター」構想を明らかにしました。台湾を「アジア資産運用センター」にすることは、政府が掲げる重要な政策目標のひとつです。
このフォーラムは経済紙「工商時報」が主催し、台湾を「アジア資産運用センター」とする構想や戦略について、政策の方向性、産業基盤、イノベーション推進などの観点から議論が行われ、台湾のソフトパワーとハードパワーの向上を目的としたものです。
頼・総統は開幕式でのあいさつで、台湾の外貨準備高はすでに6,000億米ドルを突破し、株価指数は2万7,000ポイントを超え、時価総額は3兆米ドルを突破して世界第8位の株式市場となっていると紹介しました。また、銀行、保険、証券の3業種の総資産も130兆台湾元(約648兆日本円)を超えており、これらの数字はいずれも台湾企業の競争力を示すものだと述べました。
さらに、台湾企業はこれまで中国大陸への進出である「西進」、東南アジアへの進出である「南向」、日本との連携である「北合」などを進めてきたが、今後は北米へと進出し、「台湾に立脚し、世界に展開し、世界に向けて発信する」方針だと説明しました。
頼・総統は続けて、「台湾の資産は豊かであり、保険会社や銀行が外国の債券を購入して為替損失を被るようなことがあってはならない。これこそ、台湾が『アジア資産運用センター』を築く第一の理由だ」と述べました。
さらに、「資産運用センターの設立によって、資金を台湾に留め、自ら管理し、国際資金を呼び込むことができる。これにより台湾経済はより活性化する」と強調しました。
頼・総統は「こうして私たちは台湾の金融人材を育てることができる。若者たちは台湾にとどまり、台湾人が稼いだお金を台湾で管理できるようになる。シンガポールなど外国へ出て働く必要はなくなるだろう。さらに、豊富な資金を国際的に交流させることで、台湾の繁栄は一層加速するはずだ」と期待を寄せました。
また頼・総統は、経済政策の三大主軸として、「先見性、未来、スマートで持続可能な発展」、「宇宙、海洋への挑戦」、「台湾を基盤に世界へ展開する」の三つを改めて掲げました。
頼・総統は、政府は今後も引き続き半導体、AI(人工知能)、防衛など「5大信頼産業」を強化し、「AI新十大建設」を推進して、次世代における国際競争力を確保していく方針を示しました。
頼・総統はさらに、国防産業の重要性にも触れ、今後、立法院(国会)で阻止や削減がなければ、国防予算はGDP比の3.32%を占め、2030年には5%に達する見込みだと説明しました。国防予算もまた産業発展のための予算であり、政府は「台湾の盾(T-Dome)」に加え、スマートな攻防体系を構築して国内の防衛産業を育成すると述べ、現在、台湾はアメリカや国際社会と防衛産業分野で活発に協力を続けていると紹介しました。
最後に頼・総統は、政府は今後も産業の高度化と転換を推進し、銀行・保険・証券の3業種の総資産を現在の130兆台湾元(約648兆日本円)からさらに拡大させたいと述べ、「台湾の未来を今より良くし、絶えず前進させることが政府の責務だ」と力を込めました。
(編集:王淑卿/呂学臨/本村大資)