2025年「欧州価値サミット(European Values Summit)」が5日、チェコのプラハで開催され、台湾国際放送の運営母体である中央放送局(Rti)」で現在顧問を務める李明俐氏が招かれて出席しました。李氏は「東アジアと中東欧における情報完全性の保護(Safeguarding Information Integrity in East Asia and Central Eastern Europe)」をテーマに、欧州の参加者に対し、台湾が認知戦やハイブリッド戦の脅威に直面する中で培ったメディアの強靭性と公共への伝播の経験を共有しました。
李氏はサミットの中で、2022年にロシアがウクライナへ全面侵攻した後、Rtiは同年11月にウクライナ語番組を開始し、アジアで初めて国際放送を通じてウクライナ支援の声を発信した公共メディアとなったことを紹介。李氏はまた、この戦争は、現代の戦争が戦場だけでなく、情報・認知・信頼といった領域にも及ぶことを世界に示したと述べ、Rtiがメディアの強靭性構築に果たす役割を、以下の3つの観点から説明しました。
一、Rti中央放送局は台湾と世界をつなぐ架け橋である。台湾唯一の多言語公共メディアとして、短波・中波・インターネットを通じて20言語で海外向け放送を行っており、「台湾の声を世界に届ける」重要なプラットフォームであるとともに、災害や緊急時において対外発信を維持するための生命線でもある。
二、Rti中央放送局は華語圏で真実を守る存在である。長年にわたり、中国問題の報道や権威主義体制の実態の暴露、台湾海峡両岸情勢の分析において常に高い信頼性を維持し、世界の民主的な華語メディアの重要な代表となっている。
三、Rti中央放送局は多言語サービスを通じて台湾社会の強靭性を強化している。世界に向けたラジオ放送に加え、台湾新住民(1990年の戒厳令解除以降、国際結婚やその他の理由により台湾籍を取得した者の総称)や外国人労働者コミュニティにも積極的に情報を提供しており、とりわけ東南アジアの主要言語を幅広くカバーしている。台湾では多くの非華語系新住民が母語によるニュースソースを持たないため、Rtiはタイ語、ベトナム語、インドネシア語、タガログ語などの番組を拡充し、緊急時に必要な情報を即時に伝達できる体制を整えている。これにより、民主的参加の包摂性を高め、「社会全体の強靭性」を促進している。
李氏は、中国共産党の公共メディアが台湾の数十倍に及ぶ規模と資源をもって世界各地で認知戦を展開しており、その影響はアジアからアフリカ、ラテンアメリカにまで及んでいる。また、ロシアの認知戦能力はさらに広範かつ深層的であると指摘しました。 李氏は一方で、民主主義国家の公共メディアは、予算削減や放送局閉鎖の流れによって弱体化の危機に直面しているとし、「権威主義国家が認知戦で連携する今こそ、民主主義国家の公共メディアは団結すべきだ。中東欧諸国は台湾のメディアとの協力を強化し、ともに情報空間と民主主義の価値を守っていこう」と呼びかけました。
(編集:豊田楓蓮/中野理絵/本村大資)