北部・台北市の中央研究院(中研院)で13日、台湾における日系住民(日系族群)の歴史と記憶に焦点を当てたシンポジウムが始まりました。台湾の最高学術機関である中央研究院の民族学研究所と台湾史研究所が共同開催するシンポジウムは、「二十世紀中葉被消失的日系臺灣族群:歷史光影與印記(20世紀半ばに消失した台湾の日系住民:歴史の影と痕跡)をメインテーマに13日と14日の2日間にわたり行われます。
このシンポジウムは歴史学、民族学および人文社会科学などの多角的な視点で、日本による植民地統治の開始にともない日本列島や琉球列島から台湾に移住し、第二次大戦後に台湾から去った日系住民を中心とした、日系族群と呼ばれるカテゴリーの歴史と記憶を再考。忘却された近代史の一章を紡ぎ直し、多元社会の未来を共同で探索することを目的としています。
シンポジウムでは台湾と日本の研究者による研究報告の発表、ならびに台湾と日本の交流に携わる団体関係者、台湾からの引揚者らを交えた座談会を実施。
中央研究院台湾史研究所の鍾淑敏・所長の挨拶で幕を開けた1日目は、台湾文学の研究者で日本の一般財団法人台湾協会評議員を務める河原功氏、中央研究院民族学研究所の黄智慧氏、日本の琉球大学准教授の中村春菜氏、東京大学特任研究員の林泉忠氏がそれぞれ研究発表を行いました。
後半は「台湾における日系住民の歴史(1895-1949)をどう守るか?」というテーマで座談会を進行。日本統治時代の台湾で生まれた「湾生」である清水一也さんによる一家の台湾移住から引揚げ、そして引揚げ後までのストーリー。「湾生」の祖父母を持つ岡部千枝さんは、現在、自身が携わる旧台北建成小学校の同窓会である台北建成会事務局の運営や日台交流の取り組みを紹介。
琉球大学の中村准教授は第二次大戦後に台湾から日本本土ではなく、沖縄に引揚げた沖縄出身者の証言や資料編纂に関する報告。中央研究院の黄智慧氏は台湾に現存する日本家屋の保存運動および歴史資料館の必要性について話し、会場の聴衆は熱心に聞き入っていました。