賴清德・総統は5日午前、台湾北部・台北市で開催中の第23回アジア太平洋腎臓学会(23rd Asian Pacific Congress of Nephrology、APCN)に出席しました。
賴・総統は挨拶の中で、同学会はアジア太平洋地域の腎臓医学分野で最も影響力のある国際的な会合であり、台湾が25年ぶりに開催することは大きな意義があると強調。腎臓病がすでに世界的な公衆衛生上の重大課題となっており、世界保健機関(WHO)も慢性腎臓病(CKD)をグローバルヘルス決議に盛り込んでいると指摘しました。また、台湾では9万人以上の透析患者がおり、今年の関連費用は、15億米ドル(日本円約2,330億円)に達する見通しで、国民の健康・福祉、および生活の質に直接的な影響を及ぼしていると述べました。賴・総統はそして、かつて腎臓科医だったことから、腎臓の健康は人々の幸福にとって極めて重要な基盤であることを深く理解していると強調。近年、台湾の腎臓医学は臨床・研究の両面で顕著な成果を上げており、「治療重視」から「予防重視」へと大きく転換していると指摘しました。
賴・総統はさらに、「台湾腎臓医学会(TSN)」、「国際腹膜透析学会(ISPD)」、および衛生福利部(厚生労働省に相当)の専門的な貢献により、最新の《台灣居家透析白皮書(2026–2035)(台湾在宅透析白書 2026–2035)》を発表できることを大変嬉しく思うと述べました。この長期的な計画は、台湾が「病院でしか治療できない」という従来の枠組みを突破し、医療を家庭や地域社会へと広げ、人間中心のケア、健康的な高齢化、そして持続可能な医療体制の構築を目指すもので、目標として、2035年に在宅透析の普及率18%の達成を掲げています。
賴・総統は、「今後、私たちは《台湾在宅透析白書(2026–2035)》のビジョンの実現に全力を尽くし、国際腹膜透析学会や国際在宅透析コンソーシアム(IHDC)など国際的な医療組織と協力し、より多くの患者が自宅で安全に透析を受けられる環境を整備していく。2035年に在宅透析の普及率18%を実現したい」と述べました。
さらに、台湾の慢性疾患ケアは国際的な舞台で再び先導的な役割を果たしています。台湾における医薬および衛生分野の研究機関である財団法人「国家衛生研究院」と「台湾腎臓医学会」は5日、アジア太平洋地域で初となる「早期慢性腎臓病年次報告」を共同で発表。同報告書は慢性腎臓病の各ステージに関する情報を網羅しており、充実したデータに加え、台湾の全民健康保険(国民皆保険制度)がすでに導入している2つの論質に基づく支払方式(P4P/衛生福利部が推進する、医療品質の結果および成果を指標として測定しその成績に基づいて医療保険の支払いを行う、インセンティブ型の制度。医療品質の継続的な改善と全体的な向上を実現することを目的としている)を活用することで、政策や臨床判断の量的基盤を強化し、精密なケアの推進につながるとしています。
衛生福利部の石崇良・部長(大臣)は、全民健康保険の統計によると、慢性腎臓病の患者は年間で90万人を超え、透析患者も9万人を超える。しかし、近年の新規発症率はやや緩やかになり、減少傾向にあるとも見てとれると指摘。「高血圧」・「高血糖」・「高コレステロール」の三つの慢性疾患が腎臓病の重要なリスク要因であるとし、全民健康保険の2つのP4Pプログラムが、血糖値および血圧のコントロールを通じて、透析に至る病気の過程の進行を遅らせることに成功していると説明しました。さらに、現在のP4Pプログラムの対象範囲は20%台から38%に拡大していると述べ、今回の年次報告書の公表が、政府による2030年までに慢性疾患による死亡率を3分の1削減する目標の達成に寄与することを期待していると語りました。
(編集:豊田楓蓮/中野理絵/本村大資)