頼清徳・総統は22日、台湾の時事雑誌「天下雑誌」が主催した「CWEF天下經濟論壇(CWEF天下経済フォーラム)」に出席しました。挨拶の中で、世界情勢が激動する中、かつてイギリスの経済誌『エコノミスト(The Economist)』やアメリカのニュースチャンネルCNNに所属する著名なジャーナリストのファリード・ザカリア(Fareed Zakaria)氏が台湾を「世界で最も危険な場所」と報じたことや、国内でも「民進党に投票すれば、若者は戦場へ行くことになる」との主張、さらには外資の撤退や台湾経済の崩壊を予言する声があったことに触れました。
しかし、頼・総統は、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ハマスの衝突が相次いで発生したとしても、台湾は依然として揺るぎない地位を保っていると強調しました。地政学リスクとサプライチェーンの再編が進む中、台湾は民主主義陣営にとって「信頼できる安全なノン・レッドサプライチェーン」となり、台湾海峡の安定も維持され、外資による対台湾投資も大幅に増加しています。頼・総統は、台湾経済の新局面はすでに始まっており、関税面でも日本や韓国と同じスタートラインに立ったとして、自信を持って団結し前進すべきだと訴えました。
台米間の相互関税交渉について、頼・総統は行政院(内閣)の鄭麗君・副院長(副首相)率いる交渉チームの成果を報告しました。昨年までの最高32%という高関税が15%に引き下げられ、さらに上乗せなしとなったことで、台湾は日本、韓国、そしてヨーロッパ連合(EU)と同じ条件になったと説明しました。
頼・総統は、「皆さんもご存知の通り、台湾企業は台湾積体電路製造(TSMC)だけでなく、どの企業も競争を恐れていない。公平な条件さえあれば良いのだ。台湾が韓国、日本、ヨーロッパ連合(EU)と公平な条件で並ぶことこそ、台湾企業にとって最大のチャンスではないだろうか」と述べました。
また、頼・総統は同日、別の会場で「中華民国工業協進会(TFOI)」の代表らと会見した際、政府による産業支援は台米関税交渉の妥結によって終わるものではないと表明しました。
頼・総統は、関税問題の解決は産業支援の第一歩に過ぎず、産業の長期的な発展を決定づけるのは企業の体質と競争力であると指摘しました。そのため、政府は930億台湾元(約4700億日本円)の輸出サプライチェーン支援案を打ち出し、企業の研究開発や転換、輸出融資、信用保証を支援するほか、中小・零細企業の多様な振興発展計画を推進し、デジタルやAI(人工知能)活用の導入を後押ししていると述べました。
頼・総統は、「今後も卓・院長、そして行政チームと各自治体を訪れ、各産業と密接にコミュニケーションを取り、現場のニーズを理解し、業界と共に様々な課題に立ち向かっていく。台湾経済の安定と強靭性は、一部のハイテク産業だけに築かれるものではない。中小・零細企業のアップグレードと体質強化こそが、私たちの最優先目標だ」と強調しました。
今後の展望について、頼・総統は「AI新十大建設」を挙げました。ソブリンAIや国家コンピューティングセンター、シリコンフォトニクスなどの基幹技術を含め、AIをあらゆる産業で活用できるインフラにすると述べました。また、産業界が引き続き国家政策に呼応し、国防産業や宇宙産業などの重要分野へ投資することを期待しており、政府も産業界の強力な後ろ盾になると語りました。最後に、主要な貿易パートナーとの関係を強化し、企業が台湾に軸足を置きつつ世界へ展開できるよう支援し、「台湾はすでに世界の舞台に立ち、その中心へと歩みを進めている」と締めくくりました。
(編集:呂学臨/王淑卿/本村大資)