政府が打ち出している、今後8年間で総額1兆2500億台湾元(日本円約6兆2,700億円)規模の国防特別予算条例は、現在も立法院(国会)で数的優位な野党・国民党と台湾民衆党により、委員会への付託がなされず審議に進めない状況となっています。
アメリカの対台湾窓口機関「アメリカ在台協会台北事務所(AIT/T)」のレイモンド・グリーン(Raymond Greene)所長は22日、台湾の国防安全研究院が北部・台北市で開催した「国防投資の強化と国家全体の発展」をテーマとする講演会で基調講演を行い、「自由は無料ではない(freedom is not free)」と強調。グリーン所長は、アメリカはこの重責を単独で背負うべきではない。アメリカの支援提供はあくまで友好国が自発的に取り組む範囲内に留まると述べました。また、地域における侵略行為を抑止するためにも、国防分野における投資を一層拡大する必要があると友好国に呼びかけました。
頼清德・総統は23日、この件について言及し、台湾は中国からの脅威に直面しており、中華民国国軍を力強く支援する必要があると強調。その上で、国防特別予算を可決することこそが国軍に対する最良の支持であると述べ、野党に対して「これ以上、審議を阻止しないでほしい」と呼びかけました。そして、国防特別予算の審議を速やかに完了させることで、国軍が何の憂いもなく最前線に立ち、国家を守ることができるようになると訴えました。
頼・総統は23日、「2026電器空調影音年終購物展開幕典禮(2026年 電器・空調・映像機器 年末ショッピングフェア開幕式」に出席する前、メディアの取材に応じ、「『自由は無料ではない』という言葉は、アメリカのことわざの一つであり、ワシントンD.C.の朝鮮戦争戦没者慰霊碑にも刻まれている。この言葉は危機が訪れた際には必ず犠牲が伴うことを示すものであると同時に、国を守るために献身し、犠牲を払ってきた米軍に対するアメリカ国民の敬意を表しているものだ」と述べました。
頼・総統はまた、「『工欲善其事、必先利其器(良い成果を出すには、まず優れた道具を揃えよ)』」という言葉のように、国防分野を支持し、国防特別予算を可決することこそが国軍に対する最良の支持であり、国家を守ることへの最も具体的な表れである。そのため、野党は、国防特別予算の審議を速やかに完了させ、国軍が何の憂いもなく最前線に立ち、国を守れるようにすべきだ」と訴えました。
与党・民進党の徐國勇・秘書長も、頼・総統とともにイベントの開幕式に出席した際の取材で、「自由はもちろん無料ではなく、台湾の自由もまた無料ではない」と指摘。中華民国の蒋介石・初代総統や蒋経国・第三代総統の権威主義や独裁政権下で多くの人々が銃殺され、南部・高雄市で1979年に起きた言論弾圧事件「美麗島事件」では多数の人が投獄されたことを挙げ、これらすべての命を犠牲にして得られた自由であると述べました。
徐・秘書長はまた、命や自由を代償に勝ち取った台湾の自由民主主義を維持するためには、関連する国防予算を編成し、民主主義と自由を守り、人権を保障する必要があると強調。「実力があってこそ平和を守ることができ、平和という目標を実現できる」と述べました。そして、戦争に備えることによって戦争を回避できる。戦争に備えるためには武器の購入が不可欠であると強調。1兆2,500億台湾元の国防予算は1年分ではなく8年間に分割されるものであり、十分に価値のある投資であると述べました。そして、野党に対し「建設的な野党」として、国防関連予算を速やかに委員会に付託し、審議を進めるよう呼びかけました。
(編集:豊田楓蓮/中野理絵/本村大資)