半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、日本で初となる回路線幅3ナノメートル半導体の量産を計画していることを明らかにしました。これについて、日本の高市早苗首相は政府として支援する意向を示しました。一方、台湾の経済部(日本の経産省に相当)の龔明鑫・部長(大臣)は、仮に日本で先端プロセスを生産した場合でも、先端製造に占める割合は最大でも1~2%程度にとどまるとの見方を示しました。

TSMCの魏哲家(C.C. Wei)・董事長(会長)兼最高経営責任者(CEO)は5日、日本の首相官邸で高市首相と会談し、熊本県で3ナノメートルプロセス半導体を量産する計画を説明しました。魏氏は、この計画について「地域経済のさらなる成長を促すだけでなく、日本のAI(人工知能)産業の発展基盤にもなる」との認識を示しました。
これに対し、高市首相は、危機管理や経済成長に資する投資を推進していく方針を強調したうえで、「AIと半導体はその重要な戦略分野だ」と述べ、この計画を「非常に心強い」と歓迎しました。
さらに高市首相は、「3ナノメートルのロジック半導体は、AIロボットや自動運転分野などに用いられる世界最先端の半導体であり、経済安全保障の観点からも極めて重要だ」と指摘しました。
TSMCはもともと、熊本県菊陽町に建設中の第2工場で6ナノから12ナノメートルプロセスの半導体を生産する計画でしたが、今回、新たに3ナノメートルへと高度化する方針です。まだ完成していない第2工場については、設備投資額も従来の122億米ドル(約1兆9,185億円)から170億米ドル(約2兆6,700円)へと増額される見通しです。
TSMCは近く、この新たな計画を正式決定する予定で、日本政府の経済産業省とも関連事項について協議を進めています。
一方、台湾の龔明鑫・経済部長は5日、TSMCが日本に先端製造ラインを設けたとしても、先端プロセス全体に占める比率は最大でも1%から2%程度にとどまるとの見解を示しました。さらに、今後予定されるアメリカへの投資も含め、「台湾の産業基盤が空洞化する懸念はない」と強調し、台湾は引き続き最先端技術と最大の生産能力、そして最も収益性の高い生産ラインを維持していくと述べました。
ただし、龔・部長は、TSMCによる昨年のアメリカ向け1,000億米ドル(約15兆7,200億円)の追加投資や、熊本第2工場の投資計画変更について、経済部はまだ正式な申請を受けていないとして、「企業の投資スケジュールを尊重する必要がある」と説明を付け加えました。
(編集:王淑卿/呂学臨/本村大資)