台湾では、旧正月の到来に合わせ、各家庭で春聯(縁起の良い言葉を書いた赤い紙)を壁やドアに貼って新年を祝うのが習わしとなっています。伝統的な手書きの春聯や創意あふれるデザイン春聯に加え、今後は「AI(人工知能)書道名家春聯」という新たな選択肢が登場するかもしれません。
経済部(経済省)の支援を受ける「財団法人印刷創新科技研究發展中心(印刷創新科技研究発展センター)」は、「AI模写」技術の開発に成功しました。この技術は、AIが古人の書法の筆跡やスタイルを学習し、李白や王羲之といった名家の書風を再現できるようにするものです。さらに、歴史上本人が書いたことのない文字までも、その書風で自動生成することが可能だということです。同センターは2027年に応用プラットフォームを公開する予定で、一般の人々が自分専用の春聯を印刷できるサービスを提供する計画です。
印刷創新科技研究発展中心の闕家彬・副主任は、従来、ポスターや春聯をデザインする際、特定の書道名家の書体を使用しようとすると「文字不足」という課題に直面してきた。古人の真筆として現存する文字は、多くても数十字から数百字程度に限られている。一方、コンピュータ用の完全なフォントを構成するには約1万8,000字が必要となる。そのため、これまでデザイナーは既存の文字を集めて組み合わせる「集字」の手法を用いたり、無理に継ぎ合わせたりする形で対応するしかなく、時間がかかるうえ、書風の統一も難しいという問題があったと指摘。
闕・副主任は、そこで經濟部產業技術司の支援のもと、印刷創新科技研究発展中心は大量の実体碑帖を保有する企業と連携し、各時代の名家による書法碑帖、巻物、拓本など約18万字を体系的に収集してデータベースへ取り込んだと説明。AIはこれらの資料をもとに、書家ごとの「筆致」や筆画構造を学習。さらに生成系AI技術を活用し、字形構造のアノテーション、筆路(運筆の軌跡)の再構築、スタイルの埋め込みといった多層的な学習を行うことで、AIシステムに単に字形を「見せる」だけでなく、その背後にある運筆の論理や芸術表現まで理解できるようにし、名家の書き方を高い精度で模写することが可能になったということです。闕・副主任は、「例えば李白の場合、現存する約300字を徹底的に学習させる。十分に習熟すれば、彼が実際には書いていない文字でも生成することが可能になる。春聯を作る際には、書きたい文字をコンピューターに入力するだけで、AIが学習・模倣した李白の書風に変換し、模写によって再現した書体として出力してくれる」と述べています。
(編集:豊田楓蓮/許芳瑋/本村大資)