台湾の全22県市の首長を選出する「九合一選挙(統一地方選挙)」が11月28日に実施されることに関連し、台湾の対中国大陸政策を担う、大陸委員会(略称:陸委会)の邱垂正・主任委員は、中国共産党による選挙介入の手法は、全方位的な統一戦線への浸透と認知戦であると指摘。こうした状況は選挙戦が近づくにつれ、全面的にエスカレートすると予想されることから、台湾社会はより一層警戒を強め、必要な民主的防衛メカニズムを確立しなければならないと述べました。
邱・主任委員は、台湾国際放送の運営母体である中央放送局(Rti)の番組の単独インタビューに応じ、中国共産党による選挙介入問題について言及。中国共産党の具体的な介入手段は、あらゆるところに存在し、あらゆる領域を網羅し、あらゆる手段を駆使するものであり、その方法は常識をはるかに超えるものであると指摘しました。そして、これは一種の全方位的な統一戦線への浸透と認知戦であると言える。台湾内部から台湾社会の団結と信頼を分断し、政党間の対立を煽ることで、人々の政府に対する信頼を低下させ、政府の威信を貶めることを目的としていると強調しました。
邱・主任委員はそして、台湾海峡両岸の間には2種類の非対称構造が存在すると指摘。
一つは「コストの非対称性」で、中国共産党が台湾に対して展開する認知戦は、影響力が大きい一方で実行コストは非常に低い。しかし台湾側がこれに対応し、防衛や実態の暴露、さらには情報源の追跡調査を行うには多大なコストが必要になる。このようなコストの非対称性が、中国共産党が「味をしめる」状況を生み出し、継続的に認知戦による攻撃が行われる要因となっているとの見方を示しました。
もう一つは「体制の非対称性」であるとし、台湾は自由で民主的な開かれた社会であり、情報の伝達が非常に速い。一方、中国は閉鎖的な社会であるため、AI(人工知能)によるディープフェイク動画やボットアカウントを通じて、極めて短時間でインターネット上に情報を拡散し、台湾社会へ浸透させることができる。特に選挙期間中はその真偽を即座に検証することが非常に困難であると説明しました。
邱・主任委員は、中国共産党は台湾の選挙結果へ影響を与えようとしており、民間においてもより一層警戒を強める必要があると呼びかけました。そして、当面の急務は、適切な民主的防衛メカニズムを構築することだと指摘し、過去には認知戦に対処する4つの方法があったと述べました。
まず第一に、迅速な情報公開と事実の明確化。第二に、国際協力を通じて、偽情報や偽アカウントを責任ある多国籍企業のプラットフォームから排除すること。第三にに、国家安全機関に分析を委ね、ネット上で流通する誤情報や偽情報が国家安全保障に与える影響の度合いや、特定の候補者に対する海外からの大量攻撃の有無を判断すること。そして第四に、人々のネットリテラシーおよび両岸関係に関するリテラシー教育を強化し、誤情報や偽情報に誘導されたり、拡散したりしないようにすることだとしています。
邱・主任委員は、統一地方選挙が近づくにつれ、関連する認知戦が全面的にエスカレートしていくため、必ず高度な警戒が必要であると呼びかけています。
(編集:中野理絵/豊田楓蓮/本村大資)