香港の独立系書店が7月15日に警察の捜索を受けたことを受け、香港における出版の自由の悪化に対する国際社会の懸念が改めて高まっています。与党・民進党の立法委員(国会議員)である陳培瑜氏、呉沛憶氏らは20日、台湾の複数の独立系書店とともに記者会見を開き、香港の独立系書店への支援を表明しました。また、言論と選書の自由を訴えるとともに、台湾社会がこの国境を越えた危機を直視し、書店や出版業界が行動を通じて、出版と読書の自由という基本的な価値を共に守るよう呼びかけました。
香港の独立系書店「留下書舍(Have A Nice Stay)」および「田園書屋(Greenfield Book Store)」が7月15日に香港警察の捜索を受け、5名の書店関係者が「国家安全維持条例」違反の疑いで逮捕されました。独立系書店を対象とした法執行は、この半年以内で3度目であり、香港における出版の自由の悪化に対する国際社会の懸念が改めて高まっています。
民進党の立法委員である陳培瑜氏、呉沛憶氏は、台湾の複数の独立系書店とともに「我是書店店員,我主張言論與選書自由(私は書店員であるー言論と選書の自由を主張するー)」と題した記者会見を開き、香港の独立系書店への支援を表明。また、中国共産党が再び人権と自由を著しく迫害したことに対して、強い懸念を示すと共に、厳しく非難しました。
台湾北部‧新竹市にある、台湾の独立系書店経営者30名によって設立された「友善書業供給合作社」の劉洊鑫‧理事は、書店が本を選ぶことは専門的な仕事であり、犯罪として扱われるべきではない。独立系書店が存在する価値は、多様性と独立した思考にこそあると述べました。劉‧理事はさらに、香港の独立系書店の店員が手錠をかけられ連行されたことは、言論の自由を制限するいかなる法制度の変更も、「ぬるま湯で茹でられるカエル」のように次第に萎縮効果を生み出しかねないということを、台湾社会に思い起こさせたと指摘。言論の自由を共に守っていくべきだとの考えを示しました。
北部・台北市にある独立系書店「左轉有書(TouatBooks)」の責任者である張慧如さんは、中国は曖昧な法的レッドラインによって恐怖を作り出し、何が違法となるのかわからない状況の中で人々に自己検閲するよう仕向けていると指摘。そして、香港にはかつて民主主義、自由、多様なメディアが存在していたが、今や次第に失われつつある。このことは、台湾の人々に対し、民主主義と自由は決して統治者から与えられるものではなく、常に勝ち取り、守り続けなければならない普遍的価値であることを改めて訴えていると述べました。
張慧如さんは、「今日は本を売る人が逮捕されたが、次は本を購入する人まで逮捕されるのではないか、あるいは自宅にまで入り込み、その本を持っているかどうか調べられるのではないか。中国の目的は、私たち自身に自らを制限させることだ。この問題は他国の問題ではなく、普遍的な人権の価値にかかわる問題だ」と語りました。
北部・基隆市にある「見書店(Sea To See Bookafé)」の創設者である陳顥樺さんは、出版業にレッドラインを引くことは、思想の自由を圧殺する始まりにほかならない。独立系書店が、長時間労働かつ低報酬の環境にあってもなお経営を続けているのは、多様な思考と自由な読書という価値を守りたいと願っているからだと述べました。陳さんは社会に対し、香港で出版の自由が抑圧されている問題を直視するよう呼びかけました。
呉沛憶・立法委員は、中国政府は出版の自由を侵害し続けており、最近では「民族団結進歩促進法」を施行させ赤色テロを国外へと拡張しようとしている。これに対し、自由で民主的な国々は警戒すべきだと述べました。さらに、現在、立法院(国会)では中央政府の総予算を審査していることにも触れ、もし文化部(日本の文科省に類似)の予算が大幅に削減されれば、台湾の出版業の発展に打撃を与えかねないと指摘。社会に対し、文化政策と文字に携わる仕事の担い手を支持するよう呼びかけました。
陳培瑜・立法委員は、自身がかつて児童書店を経営していた当時を振り返り、当時は、本を選ぶことが犯罪の証拠になることを一度も心配したことはなかったと指摘。また、現在の香港の状況は憂慮すべき事態であり、それはかえって、台湾が出版の自由を守ることの重要性を一層際立たせていると述べました。さらに、創作者と読者を支えるために第一線に立ち続けているすべての独立系書店に感謝を示すとともに、今後も立法院で文化関連予算の確保に努め、台湾の映像、文学、そして自由のために声を上げる全ての創作者を支援していく考えを示しました。
(編集:許芳瑋/豊田楓蓮/本村大資)