頼清徳・総統は17日、人工知能(AI)の恩恵を全国民に共有すると発表し、来年(2027年)に全国民に1万台湾元(日本円約5万円)の現金を支給する政策を打ち出し、大きな注目を集めています。野党側は、以前、税金を国民に還元するという法改正案が提出された際、行政院(内閣)は財政規律の厳守を強調していたと指摘。その一方で、今回は頼・総統がAIの恩恵を共有すると訴えているとして、野党の国民党と台湾民衆党が「台湾を貧しくする」と批判する一方、与党・民進党は「恩恵」として捉えており、ダブルスタンダードではないかと疑問を呈しました。
行政院の卓栄泰・院長(首相)は、この政策は来年度に予定されている施政予算を圧迫するものではなく、財政の均衡も図られており、来年度の中央政府総予算には債務の純増はないと指摘。また、行政院が予算を編成し、AIの恩恵を全国民と共有することは憲法に合致するものであると強調し、「台湾を貧しくするのではなく、豊かにする。ダブルスタンダードではなく、目標を達成するためのものだ」と語りました。
卓・院長は19日、「台湾ロボット&スマート自動化展(TAIROS)」および「台北国際自動化工業大展(Automation Taipei)」の開幕式に出席。その際の挨拶の中で、行政院は、今年(2026年)の経済成長率の予測値が11.05%に上方修正されたことや、国家財政にまだ余裕があることを踏まえ、先ごろ総統に、来年度の中央政府総予算の既存予算とは別に、新たに2360億元(約1兆1800億円)を追加して1万元(約5万円)の現金一律支給を実施し、AIの恩恵を全国民と分かち合うよう提言したと明かしました。そして、AI産業の努力があったからこそ、人々はこの恩恵にあずかれるのだと強調しました。
卓・院長は、「AIの恩恵を全国民で共有する」という政策を盛り込んだ後も、来年度の予算はまだ財政均衡を保っている。国の債務が新たに増加することはなく、むしろ未償還債務残高は22.4%にまで低下する。これは1999年以来最も低い水準となると説明しました。
卓・院長は、「このような『AIの恩恵を全国民で共有』を加えることは、最近一部の野党議員が言う『台湾を貧困化させる』ことにはならない。これは『台湾を貧困化させる』のではなく、むしろ『国民を豊かにする』ものであり、富を国民に還元するものである。そして、これは憲法違反ではない。行政院が予算を編成すれば、行政院の政策は憲法の規定に合致する。同時に、これはダブルスタンダードではなく、行政院の国家政策であり、国家財政が再び目標を達成したことを示すものであり、我々は本当にまた目標を達成したのだ。つまり、『困窮化した台湾』など存在せず、『豊かな台湾』があるだけだ。そして『ダブルスタンダード』など存在せず、ただ『目標達成』があるだけだ」と強調しました。
卓・院長は、バランスの取れた台湾を目指す過程で、まずは社会の底辺にある力を引き上げ、次に中間層の力を強化し、より公平な分配を進める必要があると指摘。そのようなことから、総統は、今後8年間で1000億元(約5000億円)を追加投入し、中小・零細企業の高度化と構造転換を支援するよう指示した。また、経済部は18日、すでに総統に対し、「中小・零細企業アップグレード転換発展条例」草案を報告しており、9月には立法院(国会)の審議に付される予定であると説明しました。卓・院長は、法案の早期の可決によって、中小・零細企業の成長を支援することで、産業界や都市、そして台湾の観光産業の姿も変わっていくとの期待を示しました。
(編集:中野理絵/許芳瑋/本村大資)