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第一列島線の防衛と民主パートナーの協力|元海上幕僚長、武居智久さんに聞く

4/17(金)の「こんにちは、台湾」では、先ごろ台湾で開催された「民主の盾:第一列島線における全社会レジリエンス協力国際フォーラム」に出席された日本の元海上幕僚長・武居智久さんのインタビューをお届けします。(写真:本村大資)
4/17(金)の「こんにちは、台湾」では、先ごろ台湾で開催された「民主の盾:第一列島線における全社会レジリエンス協力国際フォーラム」に出席された日本の元海上幕僚長・武居智久さんのインタビューをお届けします。(写真:本村大資)

4月17日(金)の「こんにちは台湾」

今週の「こんにちは台湾」は15日(水)、17日(金)の2回に分け、日本の元陸上幕僚長である岩田清文さんと元海上幕僚長である武居智久さんのインタビューをお届けします。

きょう17日、金曜日は日本の元海上幕僚長、武居智久さんです。

武居さんと岩田さんのお二人は4月11日(土)に北部・台北市内で行われた「民主の盾:第一列島線における全社会レジリエンス協力国際フォーラム」に出席されました。

このフォーラムは、台湾の医師を中心に作られた非営利団体、「福和会」が主催したもので、テーマにあるように第一列島線周辺の民主パートナー国、台湾、アメリカ、日本、フィリピン、韓国から専門家を招き、「第一列島線周辺での有事が発生における、パートナー国およびアメリカの協力」などに焦点をあてた話し合いが行われました。

当日は台湾の外務大臣にあたる林佳龍‧外交部長や元アメリカインド太平洋陸軍司令官、チャールズ・フリンさん、元アメリカ海軍第7艦隊司令官、マーク・モンゴメリさん、日本の元統合幕僚長、岩崎茂さん、元陸上幕僚長の岩田清文さん、海上幕僚長、武居智久さん、元ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部大使の高見沢将林さん、フィリピンからは元陸軍副司令官のレオデヴィック・ギニッドさん、韓国の元韓米聯合司令部副司令官の任浩永さんなど、錚々たる方々が出席。

そのフォーラム会場で、日本の元自衛隊最高幹部である武居さん、岩田さんに取材させていただくことができました。

台湾有事を念頭にした、第一列島線周辺の民主パートナーの協力などについて、お話を伺いましたので、どうぞお聴き逃しなく!!

第一列島線の防衛と民主パートナーの協力:元海上幕僚長、武居智久さんに聞く

ー 第一列島線を取りまく現状について

 第一列島線においては、各国が協力して安全保障を強化しようとする機運が高まっていると感じる。日本、フィリピンはこれまでアメリカと共同で訓練を行ってきているが、これに加え、アメリカを中心にフィリピン、オーストラリアなどを含めた多数の「ミニラテラル」の枠組みを通じた協力で、安全保障を強化しようという流れもある。また、日本も様々なアメリカ以外の国々との協力関係を深め、トータルとして自国の防衛力を強化しようとしている。

ー 第一列島線の重要性について 

 まず、誤解してはいけないのは、第一列島線が重要なのはもちろんだが、さらに重要なのは東シナ海と南しかない南シナ海だ。これが、この地域の経済的発展、あるいは生存と繁栄に欠くべからざる二つの海だからだ。そして最も重要なのが、海洋国家である第一列島線を形作っている国々が、自由な航行や海外交易、漁業をできる。その第一列島線、南シナ海と東シナ海を守るために、第一列島線の防衛があると考える。これにより、さらに東にある海域、第二列島線、この海域を今までと同じように法に基づく秩序の維持ができる。

ー 民主パートナー間の具体的な協力と想定される状況

 第一列島線は約3000~3500シーマイルと広大であり、一つの戦略で全てを網羅することはできない。日本海、東シナ海、台湾海峡、南シナ海など、海域ごとに戦略目的が異なってくるため、この部分を周辺国がそれぞれの役割を分担し協力することで、どのように防衛を全うしていくということが重要だと考える。

ー これまでの日本の取り組みについて

 日米同盟がアジア太平洋地域の安全保障を意識し始めた橋本・クリントン会談以降、安倍政権下での国家安全保障戦略(2013年)や「台湾有事は日本有事」という発言、さらにウクライナ戦争という流れの中で、2022年の「戦略三文書」策定に至った。今年、戦略三文書の見直しが行われると聞いているが、それぞれの地域、海域、あるいは空域で日本がどのような防衛体制を構築していくか、防衛戦略をとっていくかということが、より深く議論された内容になっていくだろう。

ー アメリカの台湾支援について

 アメリカの台湾に対する安全保障協力は、軍が中心になっているものに関して、トランプ政権になったからといって揺らいでいるということはない。むしろ強化されていると見ている。
また、フィリピンに対するコミットメントも強化されているし、特にオーストラリアも巻き込みながら、この地域の多国間の軍事演習を数多くやるようになっている。これらを見ると、トランプ大統領とその発言だけを見て、アメリカのインド太平洋およびアジアの戦略を考えるのは間違っているだろう。基本的な部分では、アメリカはこの地域への関与を強めていると思うが、域内の国々がもう少しコミットメントのクレディビリティを向上させるような政策を進めていくのが、いま我々に求められている安全保障政策ではないかと考えている。

ー 国防という観点での台湾の準備 

 頼清徳・総統の政権は危機感を持って国防予算を増額させようとしていると思うが、台湾では政権と立法院(野党)が持つ、有事に対する切迫感にかなりギャップがあるように感じる。また、台湾の中には過去の経験に基づき、「いざとなればアメリカが助けてくれる」という考えを持つ人が多いように感じる。だが、今のアメリカの国力なり、中国の国力を考えてみると、そうならないかもしれない。こういった視点に立てば、台湾はもう少し自分で自分の国を守るということを真剣に、特に政治家は考えるべきだ。

ー 海上交通路(シーレーン)の安全保障における日台協力

 日本と台湾は、エネルギーや食料の海外依存度が極めて高いという「双子の脆弱性」を抱えている。台湾が封鎖されれば、同じ海域を通る日本の輸送船も影響を受けるし、これは韓国も同じだ。したがって、平時にはグレーゾーンにおける海上交通の安全確保は、海外交易に依存している周辺の国家は共同で考えていく必要があると思う。

ー 台湾の「全社会強靭性(レジリエンス)」 

 頼・政権のもとで、エネルギー政策に関して変化が見える。原発の再稼働に言及するなど、エネルギー自給を高めようとする努力が見られるが、中国との「国家総力戦」を想定した場合、エネルギーの効率的な使用という部分で、半導体産業と国民生活のどちらにエネルギーを優先配分するかが問われることになるだろう。また、エネルギーや食料の配給などについて、今のうちからシ国民の理解を得ておくことが重要だ。

ー 日本における社会レジリエンス強化の取り組み

 社会のレジリエンスという観点で見ると、日本で問題になっているのは、シェルターがあまりにもないということが一つ。もう一つは、今回のイラン戦争で明らかになった通り、石油備蓄。さらに、原発の再稼働だと考える。その次に、重要インフラをどのように防護しているかということが挙げられる。これはウクライナ戦争の教訓だが、この部分についてはまだ民間任せなところが多く、強化していく必要があるだろう。

ー 地域安定のために最も重要なポイント

 日本にとっての最優先事項は、主権と領土の一体性の確保、海域で言えば東シナ海・南シナ海、日本の太平洋側の海域における航行の自由、法に基づく秩序を維持することだ。日本、台湾、フィリピンなどの海洋国家とともに、安全保障を考えていく必要がある。

元陸上幕僚長、岩田清文さんのインタビューは4/15の番組ページでお聴きになれます。以下リンクからどうぞ!

第一列島線の防衛と民主パートナーの協力|元陸上幕僚長、岩田清文さんに聞く

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