今日は、今、大きな進化を遂げている台湾新幹線こと台湾高速鉄道についてお伝えします。
台湾高速鉄道は来年(2028年)下半期にも新型車両「N700ST」を順次営業運転へ投入することが予定されています。2023年5月に、日本の株式会社日立製作所および株式会社東芝、東芝インフラシステムズ株式会社等で構成される企業連合「Hitachi Toshiba Supreme Consortium/シュプリームコンソーシアム(HTSC)」に対し「N700ST」の12編成(144車両)の製造を約1240億円で発注しており、「N700ST」はJR東海向けの新型車両「N700S」をベースに台湾向けに特別に設計された車両です。一編成当たりの長さは約300m、最高速度時速300kmで営業運転する予定だということです。特に先頭車両の形状が特徴的で、「カモノハシ」の顔のような形をしていることでトンネル進入時に発生する抵抗などを低減。台湾高速鉄道は2007年の開業以来現在に至るまで、東海道新幹線などに使用されていた700系車両を改良した「700T型」を運行していますが、新型車両はそれよりも空気抵抗を大幅に低減した設計です。また、車体の軽量化を実現し、従来の車体より13トンの重さを減量することで性能は7%向上するなど、画期的な進化を遂げています。さらにモーターなどの機器を小型軽量化して電力消費を大幅に減らすとともに、揺れを大幅に抑える制御装置を採用し、騒音も低減することで「より快適な乗車体験」を提供。その他、停電時においても低速で自力走行が可能なリチウムイオンバッテリーを導入。緊急時に外部からの電力供給が遮断されても、低速で安全な場所に移動でき、照明やトイレ機能も維持が可能だとしています。
また車内には、客室上部の荷物棚と荷物置き場をそれぞれ拡大。台湾高速鉄道史上初めて全席にコンセントを設置する他、座席はリクライニングすると背もたれと連動して座面が沈み込む構造で、座り心地を改善しています。
ちなみに新型車両第一弾は、あと2ヶ月ほどで製造が進む日本の工場を出発し、今年8月にも台湾に到着する見通しです。2028年末までに全12編成を営業運転に投入する予定で、ピーク時の輸送能力を現在と比べ約25%引き上げることが期待されています。
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台湾高速鉄道では近年、旅行目的の利用だけでなく多くの人にとっての通勤手段にもなっており、乗客が増加しています。昨年、在来線の台湾鉄道の運賃が値上がりし、台湾高速鉄道との料金の差が縮まったことを受け、少し高い料金を払えばより早く到着する台湾高速鉄道を利用して通勤する人が増えているのです。
交通部(日本の国土交通省に類似)が発表した最新の統計によると、2025年の台湾高速鉄道利用者数は過去最高を更新し、初めて8,000万人を突破、年間延べ8,207万618人に達しました。これは2024年の7,825万人から約382万人増加し、前年比4.9%の成長です。平日の1日平均利用者数は22万5,000人で、前年の21万4,000人から1日あたり約1万1,000人増加。利用者数が最多だった駅は台北駅で、年間1,691万7,152人の乗降客数があった一方、利用者数が最も少なかった駅は南部・彰化駅で年間95万3,821人にとどまりました。また、1年間の全体の運行状況を見てみると、下半期にかけて利用者数が徐々に増加。特に第4四半期は、年末のビジネス需要や帰省ラッシュに加え、各地で開催されたコンサートなどのイベントが追い風となり、10月から12月までの各月で利用者数はいずれも700万人を超えました。
このように利用者が増加し続ける中、旅客の安全確保および利用者増加に伴うホーム混雑への対応として、台湾高速鉄道側は全駅へのホームドア設置を進める方針をすでに明らかにしています。新設されるホームドアは高さ約120cmで、強風や車両の通過時に生じる空気圧にも耐えられる設計だとしています。
設置は段階的に進められ、強風の影響を受けやすい北部・新竹駅と、ホーム形状が半円カーブの北部・板橋駅が優先対象となり、第2段階では北部・桃園、中部・台中、苗栗、彰化、南部・雲林、嘉義、台南の7駅へ拡大。また、北部・台北市に位置する始発駅である南港駅および終着駅の南部・高雄に位置する左営駅の2駅は2028年第1四半期に完成予定だとしています。2026年第4四半期から新竹・板橋両駅で順次供用を開始し、2028年第1四半期までに全ての駅での設置完了を目指しています。なお、台湾高速鉄道の駅で現在唯一ホームドアが設置されている台北駅では、既存のホームドアの改修がすでに完了しています。
ちなみに、新型ホームドアは、今後導入される新型車両と既存車両のドアの位置の違いに対応するため、幅広タイプの特別な構造を採用。さらに耐震設計基準に適合しているほか、強風試験もクリアし台風といった異常気象にも耐えうる仕様となっており、安全性を高い水準で確保しているということです。
日本の安全な新幹線技術を導入した台湾高速鉄道、新型車両とホームドアの導入がどちらも2028年までに完了するということで、今後、より多くの人が台湾国内の移動手段として積極的に利用を選択することが期待されています。
台湾高速鉄道の公式Facebookに投稿された、新型車両N700STを背にポーズを決める同社の史哲・董事長のようす。史哲・董事長が「乗車時にきっとよく眠れると思う」と快適性に対する自信を語った動画は同社のFacebookに4月30日に投稿されているので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。
(写真:台湾高速鉄道)