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対外関係 - 2026-05-13_【Rti特集記事】米中首脳会談と台湾 「良いことが起きる」の裏で続く駆け引き

13/05/2026 対外関係
アメリカのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は13日夜、中国の北京に到着、中国の韓正・副国家主席が出迎えました。(写真:AP通信)
アメリカのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は13日夜、中国の北京に到着、中国の韓正・副国家主席が出迎えました。(写真:AP通信)

アメリカのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は13日、中国への公式訪問を開始し、中国の習近平・国家主席と会談を行う予定です。トランプ大統領が2017年、初めて大統領に就任した際に中国を訪問して以来、国際情勢も米中関係も大きく変化しました。しかし、変わるものと変わらないものがある中で、台湾問題は依然として米中双方にとって最も敏感なテーマであり、今回、世界が注目する米中首脳会談の焦点にもなっています。

▽「トランプ訪中2.0」 台湾問題が会談の中心に

トランプ大統領は13日から15日にかけて、ホワイトハウス復帰後初となる中国訪問を行い、習近平・国家主席と米中首脳会談を行います。

昨年、韓国・釜山で行われた100分間の米中首脳会談では台湾問題にほとんど触れられませんでしたが、今回は事情が異なります。トランプ大統領は中国を訪問する前から、アメリカによる台湾への武器売却について言及する考えを示し、ワシントンが長年維持してきた台湾防衛支持の立場について、中国側と協議すると明らかにしていました。

同行するルビオ国務長官も、首脳会談を前に繰り返し「台湾問題は会談の一部だ」と強調し、「力による台湾海峡の現状変更は望まない」とした上で、地域の安定を損なわないよう中国側をけん制しました。台湾が依然として米中関係における最も敏感な核心テーマの一つであることが、改めて浮き彫りになっています。

ただ、中東で予想を超える戦争に直面し、エネルギー問題やインフレによって11月の中間選挙への圧力を抱えるトランプ大統領にとって、台湾問題だけが関心事ではありません。貿易、イラン、AI(人工知能)、レアアース、さらには核兵器問題なども、今回の中国訪問で進展を期待する重要分野です。

一方、不動産の不況や内需低迷、若者の失業問題など経済的困難を抱える中国側にも、台湾という「レッドライン」以外に現実的な要求があります。ペルシャ湾情勢の安定化、中東の石油輸送ルートの回復、そしてアメリカによる先端技術規制の緩和などがその例です。

▽「外交成果」で国内批判そらす狙い 台湾が取引材料になる懸念も

大統領選挙が近づく中でも支持率が伸び悩むトランプ大統領は、イラン戦争への不満から国民の目をそらすためにも、外交面で華々しい成果を持ち帰りたい考えです。

そのため、台湾が今回の首脳会談で交渉材料になるのではないかとの懸念が高まっており、アメリカの台湾に対する表現が歴史的に変化する可能性も取り沙汰されています。具体的には、従来の「台湾独立を支持しない」という表現から、「台湾独立に反対する」へと踏み込むのではないか、という見方です。

これについて、国策研究院の執行長で、国立成功大学政治学科の王宏仁・教授は、「トランプ大統領の予測不能なスタイルには多くの不確定要素があり、最後まで分からない部分もある」としながらも、「大きなサプライズは起きないだろう」との見方を示しています。

その理由について王・教授は、「トランプ大統領は会談の焦点がぼやけることを望んでおらず、中国側に議題を主導されたくない。そのため、最も安全な方法はアメリカの従来の立場を維持し、自らが話したい台湾問題、例えば武器売却などに限定することだ」と分析しています。

実際、アメリカの対台湾表現が注目されるのは、その立場が地域の安全保障に直結するためです。たとえ声明文のわずかな表現の違いでも、大きな意味を持つ可能性があります。

アメリカはこれまで一貫して「台湾独立を支持しない」という立場を取ってきましたが、もしこれが「台湾独立に反対する」に変われば、極めて重要な変化になります。

国立高雄大学政治法律学部の王順文・教授は、「アメリカの対台湾政策には長期的な継続性があり、基本的には台湾海峡両岸問題の平和的解決を支持する枠組みだ」と指摘し、「トランプ大統領が『台湾独立に反対する』とまで述べる可能性は低い」としつつも、「最終声明の表現に台湾への警告となるようなニュアンスが含まれていないかは注視する必要がある」と述べています。

▽武器売却問題 トランプ氏が「台湾カード」主導

王順文・教授は、「台湾独立を支持しない」ということは、「台湾独立に反対する」という意味ではない。ですから、我々が注目すべきなのは、その表現が従来より一歩踏み込んでいるかどうか。もし踏み込んでいれば、それは台湾にとって警戒すべきシグナルになると警告を発しました。

これまで米中首脳会談では、中国側は必ず「台湾はレッドラインだ。新疆やチベットもレッドラインだ」と主張してきました。しかし、そのレッドラインを越えない限り、中国にとってより重要なのは、米中間の競争と協力の問題です。

このレッドラインについて中国側が一定の満足を得られれば、その先の貿易問題の協議に進めるわけです。したがって、貿易問題や、将来的な米中競争における不確定要素をどう処理するかが、今回の首脳会談の主軸になるだろうということです。

今回の米中首脳会談では、貿易問題や中東情勢が大きな影を落としていますが、その中で米中の駆け引きを左右する「将棋の駒」が台湾だとの見方もあります。そのため、台湾への武器売却問題も重要な観察ポイントとなっています。

習近平・国家主席は今年2月の電話会談で、アメリカ側に対し台湾への武器売却を慎重に扱うよう求めていました。一方、トランプ大統領自身も今回の会談で武器売却問題に言及すると明言しています。

アメリカは去年12月、総額110億米ドル(約17,300日本円)規模の大型対台湾武器売却を発表し、トランプ大統領も枠組みを承認しました。しかし、正式な議会通知の手続きは依然として完了していません。

一方、台湾の立法院では今月8日、軍事調達特別条例が可決されましたが、予算上限は当初の12500億台湾元(約62,500億日本円)から7800億元(約39000日本円)へと縮小されました。

アメリカ国務省は、「他の防衛能力への資金提供をさらに遅らせることは、中国共産党への譲歩に等しい」と警告しています。 

▽「軍事支援は米台双方の利益」 揺るがぬトランプ大統領の立場

中国側は首脳会談前に改めて対台湾武器売却への反対を表明しましたが、トランプ氏は台湾への武器売却が台湾防衛に重要であるだけでなく、アメリカの経済や防衛産業にとっても利益になることを十分理解しています。

王宏仁・教授は、「アメリカのインド太平洋防衛戦略の考え方は変化しており、コストや経済利益の観点から見ても、トランプ大統領にとって台湾への武器売却は当然のことだ」と指摘します。

また、「それは、トランプ氏自身が、台湾が中国から脅威を受けていると認識していることを意味する。アメリカが積極的に武器売却を進めるのも、その脅威がアメリカ自身にとっても現在、あるいは将来的な影響を及ぼすと考えているからだ」と説明しています。米中首脳会談で台湾への武器売却が議題となることに懸念は広がっていますが、王宏仁・教授は、武器売却案件については、せいぜい実施が先送りされたり、目立たない形で発表されたり、分割して段階的に処理されたりする程度で、場合によっては台湾を理由に使う可能性はあっても、本質的には大きな変化はないとの見方を示しています。そして、トランプ大統領が台湾への武器売却を放棄することはあり得ないと指摘しています。

王宏仁教授は、「もちろん今のトランプ政権には、一つの言い訳を作ることはできると思う。例えば、台湾の野党が予算案を通したとはいえ、その内容は与党やアメリカ側が期待していたものではなかったという説明だ。つまり、もし中国からの圧力で何らかの調整や軟化を行う場合でも、アメリカが軟化したのではなく、台湾側の問題だと説明できるわけだ。例えば、『野党が武器売却関連の予算を通さなかった』といった形で、野党をスケープゴートにすることも可能だろう」と分析しましたが、「ただ、いずれにしても、本質的な部分はそれほど大きく変わらないと思う」と重ねて強調しました・

▽「大きな成果」より限定的合意か

トランプ大統領が2017年に初めて北京を訪れた際は、まだ“新米大統領”でした。しかし9年後の今、地政学的緊張と米中対立が一層深まる中で行われる今回の首脳会談は、単なる友好的な再会にはなり得ません。

トランプ大統領は「多くの良いことが起きる」と予告していますが、中国側が正式発表を訪問2日前まで遅らせたことからも、米中間に依然として強い駆け引きが存在していることがうかがえます。

王宏仁・教授は、「今回の会談で大規模な取引は成立しないだろうが、小さな成果は出る」と分析、具体的には、貿易摩擦の一時休戦、農産物購入、ボーイング機の発注、レアアース供給、技術規制の緩和などで一定の進展があり、市場の安定につながる可能性がある」という見方を示しました。

一方、台湾問題については、「表現や論調の小さな変化」が起きるかどうかに注意すべきだとしています。王宏仁・教授は「特に台湾問題に関する部分。例えば、中国側が一定の成果を得た結果、論調が少し中国寄りになる可能性がある」と示唆しました。

例えば、アメリカが台湾問題でより慎重になったように見えたり、武器売却や政府間交流がやや引き締められたりする可能性はあると思うと述べました。

また、その結果として台湾国内で「疑米論」、つまり「アメリカは信用できない」という見方が強まることも懸念されます。北京側が小さな成果を大きく宣伝材料として利用する可能性があり、その点は注意が必要だと思うと語りました。

▽台湾問題は「消えない重要テーマ」

高雄大学政治法律学部の王順文・教授は、「アメリカが今回目指しているのは、外交成果によって軍事的行き詰まりを和らげる首脳会談だ」と指摘しています。そのため、レアアース、輸入調達、石油、天然ガス、さらにはフェンタニル問題や軍備に関する規制などが主要議題になるとみられています。

一方で、台湾問題は極めて重要ではあるものの、会談全体の中心になるわけではないとしています。王順文・教授は「米中関係は、より予測可能でコントロール可能な方向へ進まなければならない。その中で台湾は、予測不能でコントロールしにくい要素だ。だからこそ、それをどう管理可能にするかという議論は当然出てくる」と分析しました。

ただ、それが首脳会談全体の中心になるわけではありません。アメリカも、イラン問題を理由に、台湾を放棄するようなリスクを取ることはありません。台湾問題は、米中交渉における“媒介不確定要素”のような存在です。しかし、それ自体が最大の要因ではなく、最終的には米中競争という大きな構図に戻っていくのだということです。

▽▽▽

2017年の米中首脳会談から2026年の再会まで、中国は中国のまま、トランプ氏も習近平氏も変わっていません。しかし、もはや元には戻れない米中関係、緊張を増す台湾海峡情勢、そして目まぐるしく変化する地政学。

今回、世界が注目する米中首脳会談は、単なる両首脳の再会ではなく、今後の世界情勢を左右する重要な指標となっています。

(編集:王淑卿)

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