今回は二つの話題をお伝えします。
一つ目は、台湾北部・台北市や新北市を走る新交通システム「台北メトロ(MRT)」の新型車両に関する話題。台北メトロは今年で開業30周年を迎えるのですが、そんな中今月初め、鉄道車両・軍用兵器などを製造する韓国の企業である「現代ロテム」が受注し製造した新型車両の第1編成が台湾に到着しました。この新型車両は路線の延伸や輸送需要の増加に対応するためのもので、2027年半ばにも営業運転に投入される予定です。
台北メトロは今回の車両の製造に関し、韓国に職員を派遣しメーカーと協力して厳格な監督の下で製造や試験を行い、首都の都市交通を担う車両としての開発を進めてきたとしており、合計3年余りをかけて10両編成を製造したと説明しています。製造費用は1編成あたり約5億9000万台湾元(約30億円)だということです。
各車両の全長は約24メートル、幅約3.6メートル、高さ約3.6メートル、重量は最大で約42トンとなっています。
今後は、静態機能検査、線路上での動態走行試験、さらに各路線のシステムとの適合性試験など段階的な試験を実施し、最終的には台北メトロ営業時間終了後の時間帯における試運転を行う予定です。こうして、安全性に問題がなく、各指標が基準を満たしていることを確認した上で、2027年半ばにも正式に営業運転へ投入される見込みだということです。
車内は線路と平行に座席を配置したロングシートを全席で採用し、動線のゆとりを確保した他、旅客情報表示の改善および運転制御システムの性能の最適化が図られたことで、より分かりやすく安全性・信頼性の高い乗車環境の提供を目指したということです。

5月2日、台北メトロが初めて韓国・現代ロテムに製造を発注した新型車両の第1編成が台湾に到着した。
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二つ目の話題は、北部・新北市の淡水区と八里区を隔てる台湾三大河川の一つ、淡水河の河口部両岸を結ぶ全長920mの橋「淡江大橋(たんこうおおはし)」が今月12日に正式に開通した話題です。
淡水区は台湾北部において、人文発展が非常に早くから進んだ地域のひとつであり、山と河と港が交わる魅力的な場所として知られています。これまで、台湾原住民をはじめ、中国大陸からの漢人、スペイン人、オランダ人、そして日本人など、多様な人々がこの地に居住し、布教や貿易活動を行ってきた結果、淡水には独自の文化的風土が形成され、現在に至るまで豊かな歴史的背景を残しています。また区内には、多くの貴重な遺跡や歴史的建造物などが点在しており、淡水区の文化的価値と観光資源としての魅力を支えています。
そんな淡水区の向こう岸には、その昔、漁業資源の豊かな原住民の町として栄え、今も豊かな自然景観を残す八里区と呼ばれるエリアがあります。この淡水区と八里区を隔てるのが淡水河。ここに新しくかかったのが淡江大橋です。淡江大橋が開通するまでは1983年に完成・開通した八里区と台北市北投区を結ぶ長さは809メートルの橋、関渡大橋を渡ることで淡水河を隔てた両岸を渡ることができていましたが、今回、淡江大橋が通れるようになったことで淡水区から八里区までの距離は約15キロメートル短縮され、所要時間も従来の約30分から約8分へと約20分削減されました。これにより関渡大橋や周辺道路の渋滞緩和も期待され、淡水地区や八里区の発展を促す重要な交通・観光拠点となると見込まれています。
実は、淡江大橋の計画は長年にわたり実現が困難とされてきました。というのも、建設の構想が生まれたのは1980年代にまでさかのぼります。その後1992年に本格的な建設プランが提示されたものの、淡水河口特有の地形条件、強風、桃園国際空港からの飛行機の航行ルートの制約などにより施工難度が極めて高く、「実現不可能」とさえ言われた時期もあったのです。その後、計画が再構築され、最終的に工事の発注へと至りました。結果として、新型コロナウイルス流行前に契約が成立し、その後の資材高騰による大幅なコストの増加を回避できたとされ、国家の財政面でも数百億台湾元規模の節約につながったと評価されています。
そして2019年に工事が始まり、約8年の建設期間を経て、今月9日に開通式が行われ、12日に正式な利用が開始されました。開通前の一般開放イベントでは10万人を超える市民が訪れ、その注目度の高さを改めて示していました。また12日の開通直後には早速、自動車やオートバイなどで通る人や歩行者などでにぎわいました。
橋は、世界的に有名な英国の女性建築家、ザハ・ハディド氏のチームが設計。彼女は「建築界のノーベル賞」と称される世界で最も権威ある建築賞「プリツカー賞」を受賞した初の女性建築家として知られています。淡水の夕日は台湾八景にも数えられる景観資源であり、その景観への影響を最小限に抑えるため簡潔で洗練された造形になっているほか、流動的な曲線を活かした革新的なデザインで高く評価されています。
また、自動車が通れる道の他、歩行者や自転車、オートバイ、バスのレーンが整備されており、合計12本の通行ラインを確保。バス専用レーンは、将来的には「ライトレール(LRT)」と呼ばれる次世代型路面電車が運行できるように設計されていて、戦後の台湾で9番目となる鉄道・道路の併用橋となる見込みです。

淡江大橋