今回は、キノコ産業における台日交流・協力についてお届けします。
台湾のキノコ産業の年間生産額は100億台湾元(約500億円)を超え、その中でもシイタケが最大の生産額を占めています。
台湾で最大のシイタケ生産量を誇る中部・台中市新社区の農会(農業協同組合/農協)の羅文正・総幹事、そして農業部(日本の農林水産省に相当)農業試験所のキノコ研究の専門家などで構成された訪問団は先月末、日本の森産業株式会社の本社を訪問し、暑さに強いシイタケの育成や栽培技術、品種権保護、産業協力などについて意見交換を行いました。そして日本に存在する暑さに強いシイタケの元になる菌や栽培管理技術を導入することで、台湾産シイタケの収穫量と品質を向上させ、地球温暖化による影響を受ける台湾のシイタケ産業の技術力向上と競争力強化を目指すことで一致しました。
日本の森産業株式会社は、群馬県桐生市に本社を置き、キノコの総合事業を展開する会社で、キノコの元になる菌(きのこ種菌)や人工の培養地(きのこ菌床)の製造販売、品種開発などを行っている日本のキノコ業界のパイオニアです。
一方、台湾最大のシイタケの産地、台中市新社区で生産される量は、一年で約2,000トンと、台湾全体の半分以上を占めています。しかしキノコ類は摂氏23度の環境での栽培に適しており、25度以上になると発育不良になることから、近年、温暖化による影響で収穫量が減少し、生産額もおよそ4分の1にまで落ち込むなど、生産者への影響が深刻化しています。そのため生産量をいかにして増やすかが喫緊の課題となっています。
こうした課題に対応するため、新社区農会は農業部や台中市の支援を受け、2020年から新たなキノコ種菌の研究開発を進めてきました。
2024年には、森産業株式会社と、その輸入業者である台湾企業の「第一名店」の3者により、シイタケ産業の協力を図るための覚書(MOU)が締結されています。新社区農会と森産業株式会社の双方はこの1年余り相互訪問を重ね、2025年からは森産業株式会社の暑さに強いキノコ種菌の導入を開始し、台湾の4つのシイタケ農家の協力を得て季節を変えながら栽培試験を実施、台湾における最適な栽培条件などの確立において一定の成果を上げてきました。
今後、試験結果の安定性が確認されれば、品種登録に関する手続きを進め、台湾での本格的な量産を開始し、菌床メーカーやシイタケ農家への供給を目指すということです。