台湾南部の高雄市と日本の新潟県佐渡市は2023年に友好交流協定を締結しています。そしてこの二つの市は相互交流を促進することを目的に「観光スポット相互優待プログラム」の取り組みを今月1日からスタートさせました。このプログラムでは高雄市民が、住所が高雄市の身分証を提示することで、日本海側で最大の離島である佐渡島の5つの観光スポットに無料で入場できる特典を受けられます。
佐渡島はかつて、日本における金の一大生産地でした。そのため島内には2024年に世界文化遺産に登録された日本最大級の金・銀の採掘遺跡である佐渡金山があります。
今回の優待プログラムでは、高雄市民はそんな佐渡島の歴史を学べるスポットや、絶滅危惧種である鳥類・トキを野生に近い形で観察し生態を学べる施設へ無料で入場できます。
対象となる5つのスポットとは、2024年に世界文化遺産に登録された佐渡金山の魅力を、大型映像・写真等を中心としたわかりやすい展示で楽しめるガイダンス施設「きらりうむ佐渡」、江戸幕府が直轄地であった佐渡島に置いた役所の跡地「佐渡奉行所跡」、「佐渡鉱山」と共に歩んだ町・相川地区の歴史について学べる博物館「相川郷土博物館」、1920年に建てられた宿根木小学校の木造校舎をそのまま活用し、数多くの民俗資料などを展示する博物館「佐渡国小木民俗博物館」、絶滅危惧種であるトキを野生に近い形で観察し生態を学べる施設「トキの森公園」です。
一方、この「観光スポット相互優待プログラム」では逆に、佐渡市民が佐渡市民であることを証明できる身分証を提示することで、高雄市の5つのスポットへ優待価格で入場できる特典もあります。
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対象の5つのスポットとは、高雄港に位置しかつて港町として栄えた地域の歴史やそこで生活した人々の暮らしを伝える場所として整備されている「紅毛港文化園区」、台湾で3番目、南部で最初の公立の美術館「高雄市立美術館」、台湾に現存する西洋式近代建築の中で最古の旧イギリス領事館「打狗英国領事館」、1814年に創建され、台湾に現存する書院の中で最大規模かつ最も完全な形で保存されている「鳳儀書院」、そして台湾南部最大の公立動物園である「寿山動物園」です。
この優待制度は来年の12月31日までの実施期間となっています。詳細は高雄市もしくは佐渡市の公式サイトをご確認下さい。
実は、高雄市と佐渡市の交流が始まった背景には、1870年生まれの佐渡出身の政治家、山本悌二郎(やまもと ていじろう)(1870-1937年)氏の存在があります。
日本で農林大臣を2度を務めた山本氏は、台湾製糖株式会社(台湾糖業股份有限公司の前身)の設立に関わり社長も務め、台湾の製糖産業の発展に大きく貢献した人物です。さらに、高雄港一帯の巨大倉庫群の管理を任されていたこともあり、高雄市の産業発展に大きく寄与し現代化を推し進めた重要な人物として、台湾や高雄市との縁が深いのです。農林大臣に任命されると入閣のため、27年に及んだ台湾生活にピリオドを打って日本へ帰国。台湾製糖株式会社はその貢献を称えるため、日本統治時代の台湾で活躍した台湾人の彫刻家、黄土水(こうどすい)(1895-1930年)氏に銅像の制作を依頼し高雄市の橋頭糖廠(=製糖工場)に設置されていました。戦後は回収され、長く倉庫に眠っていたものの、1959年、日本側からの要望を受け、山本氏の故郷である佐渡島に移設され、佐渡市内の公園に設置されていました。その後各方面の働きかけの結果、再び高雄に移設され、高雄市立美術館が収蔵することに。高雄市はその際、銅像のレプリカ制作に取り掛かっており、完成したレプリカが今度は佐渡市へ寄贈されたという経緯があります。
日本統治時代の台湾で活躍した日本人、山本悌二郎氏と台湾人、黄土水氏が結んだ縁が、高雄市と佐渡市、2つの市の新たな交流につながったというわけなのです。