①4万7608台湾元
中華民国政府の予算・会計・統計の三大業務を所管する中央行政機関である「行政院主計総処」が先月発表した、今年上半期の台湾における平均月給
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この4万7608元というのは日本円で約23万4000円で、前年の同じ時期と比べ2.99%増えたとともに、過去25年間で最高を記録しました。
しかし、この平均値を下回る月給の労働者の割合は全体の労働者の約7割を占めていることも判明。その割合は近年上昇しており、今回過去最高を更新。特に工業・サービス業の労働者が平均値を下回っており、台湾では依然として、賃金格差の大きさが浮き彫りとなりました。
それでも平均月給が上昇した背景について、行政院主計総処の譚文玲・副処長は「政府が定める最低賃金の引き上げ」にあると指摘しています。台湾では今年1月1日に最低賃金が2023年と比べ4.08%引き上げられ、最低賃金は月給の場合27,470元から28,590元(約13万5000円から約14万円)に、時給の場合183元から190元(約900円から約930円)にすると定められました。
実は最低賃金の調整は2016年以来、今年まで9年連続で行われており、その間の引き上げ幅は月給だと約43%です。2016年は20,008元だったのが今年1月1日からは28,590元へ(約9万8000円から約14万円)まで引き上げられているので約43%の引き上げ幅になりました。そして時給は2016年は120元だったのが今年1月1日から190元へ(約590円から約930円)となり約58.3%の引き上げ幅に。
最低賃金調整の審議は、労働部(日本の厚生労働省に当たる)が開く「最低工資審議會議(日本語訳:最低賃金審議会)」によって毎年行われることが、昨年新たに施行された法律「最低工資法(日本語訳:最低賃金法)」により義務付けられています。審議会は計21名のメンバーで構成され、内訳は労働者代表が7名、雇用主代表が7名、政府(労働部長及び経済部と国家発展委員会の代表)代表が3名、有識者が4名と定められています。毎年第3四半期に開催され、審議の結果を行政院(内閣)に報告、承認を受けた後正式に実施される仕組みとなっています。
今年の「最低賃金審議会」は今月(9月)下旬に開かれる予定で、現時点では行政院主計総処が推計した最新の経済成長率4.45%とインフレ率、つまり消費者物価指数の年間上昇率1.76%を参考に審議される見込みで、来年の最低賃金の引き上げ幅はこれまで通り3〜4%程度となると予想されています。ここ数年続いてきた4%超の調整幅を維持できるかは、審議会での労働者および雇用主代表の話し合い次第です。
労働者側の代表は先月インタビューの中で、「物価上昇の影響を考慮し、低所得労働者の生活を守るため最低賃金は少なくとも4%引き上げる必要がある」と主張。しかし、「これは理想的な水準だ」とも述べ、現実的には今年の軍人・公務員・公立学校の教員の平均昇給率が3%であることから、最低賃金の引き上げ幅も少なくとも3%以上であるべきだと考えている」と述べました。一方で雇用者側の代表は「物価が上昇しているため、賃上げは賛成だ」との意見を主張したものの「アメリカによる相互関税の影響は不確定要素が多いため、最低賃金は小幅な引き上げにとどめ、経済への影響を抑えたい」との考えも示しました。
相互関税や賃金格差の問題がある中、来年は10年連続の賃金引き上げとなるのか、引き上げられた場合、その割合は何%になるのか、注目です。
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②「31日間」
「颱風假」が10年間で最多だった地域は南部・高雄市で31日間
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今年は7月に台風4号、7号、8号が、そして8月には台風11号が次々と台湾に上陸もしくは接近し、各地で大きな被害が出ました。
中でも中南部の被害が大きかったのですが、「颱風假」と呼ばれる台風による被害を最低限に抑えるため各自治体が決定・発表する休業・休校措置、いわゆる「台風休み」も数回に渡り実施されました。
そんな中、あるネットユーザーが2015年以降台湾の各県と市で発表された颱風假の日数をまとめ、話題に。その投稿で明らかになったのが二つ目の数字「31日間」です。
それから、台東県と東部・花蓮県がそれぞれ29日間で第2位、続いて南部・台南市と屏東県が28、澎湖が23、南部・嘉義県が22、嘉義市が21、北部・基隆市、新北市、中部・雲林県がそれぞれ20日間という結果でした。また、20日間に届かなかったのは、北部・台北市と離島・金門が19、北東部・宜蘭が17、離島・馬祖が16、北部・桃園市・新竹市・新竹県、中部・台中市・彰化県・南投県がそれぞれ15、そして最下位となったのは北西部・苗栗県で14日間でした。
日本の九州地方ほどの大きさしかない台湾ですが、このように地域によって2倍以上の差があることが判明したのです。