中国外交部(外務省)はこのほど、中国四川省出身の日本の野党、日本維新の会の石平・参議院議員に対し制裁を科すと発表しました。日本の現職の国会議員が北京の制裁対象となったのは史上初めてです。
石平議員は中国から「漢奸(民族の裏切り者)」、「売国奴」と激しく非難されたことについて、台湾国際放送の運営母体である中央放送局の単独インタビューで反論しました。早速この話題をお伝えいたします。
天安門事件が人生の転機、日本に帰化
現在63歳の石平議員は四川省成都市で生まれ、文化大革命の動乱の中で成長しました。北京大学在学中に民主化運動に参加し、1988年に日本へ留学。翌年、天安門事件が勃発し、中国共産党に絶望して「精神的訣別」を宣言しました。
その後、日本に定住し、2007年に日本国籍を取得。辛辣な中国共産党批判で評論活動を展開し、今年7月20日の参議院選挙で日本維新の会から立候補して当選しました。
制裁は「中国の痛いところを突いた証拠」
当選からわずか2か月足らずの9月8日、中国の外交部は石平議員とその直系親族の中国本土・香港・マカオへの入境を禁止し、中国国内におけるすべての資産を凍結すると発表しました。理由は「台湾、釣魚島(日本名:尖閣諸島)、香港、歴史問題などで誤った言論を広め、中国の利益を損なった」としています。
これについて石平議員は、「自分の批判が中国の痛いところを突いたからこそ、制裁された」と強調しました。
石平議員は、「彼らは私が誤った言論を発表したと言う。つまり、日本の国会議員の中で、台湾のことにせよ、チベットのことにせよ、釣魚島のことにせよ、あらゆることについて、これほど全面的で、しかもこれほど厳しく中国政府を批判する日本の国会議員は、これまで現れたことがなかったということ。だから、今日、私のような立場の人間が国会議員になったので、中国では『出る杭は打たれる』と言うが、とにかく最初に私を標的にしたというわけだ。」と説明しました。
中国のネットでの罵倒に「売国できるのは統治者だけだ」
中国のインターネット上では「漢奸」、「売国奴」との攻撃があふれていますが、石平議員は「昼食後の小さな楽しみだ」と一笑に付し、「もし罵られなくなったら寂しくなる」と語りました。さらに、「最も多く国土をソ連に売ったのは誰か。私はまだ売国の資格すらない。売国できるのは統治者だけだ」と皮肉を込めました。
石平議員は「中国大陸で人が最も多く死んだのはいつの時代か? それは戦争の時代ではなく、1960年代、70年代だ。そして中国の国土をソ連に売り渡し、外国に売り渡したのは誰か、一番多く売ったのは誰なのか。誰かが私を売国奴だと言うが、私はいったいどこの国を売ったというのか? 私はまだ売国する資格すらない! 本当に売国する資格があるのは、あの統治者たちであり、彼らこそが売国する資格を持っているのだ。」と反論しました。
日本への責任、台日関係に言及
石平議員は、日本国籍を取得した以上、日本に忠誠を尽くすのは当然だとしたうえで、日本人に中国の脅威を正しく認識させることが自身の責務だと強調しました。
また、自民党総裁選では高市早苗氏が首相に就けば、台日関係の発展に有利だとの見方を示しました。「日本の右派は台湾の独立や生存に強い関心を持ち、中国による併呑を絶対に許さない」と述べています。
石平議員は、「日本では、いわゆる右派と呼ばれる人々は、台湾の独立に関心を持ち、台湾の生存に関心を持ち、台湾の自主独立に関心を持っている。なぜなら右派の人々は皆、台湾と日本は運命共同体であり、中国が台湾を併呑することは絶対に許されないと考えているからだ。この点については、日本の大部分の右派の間で非常に明確になっている」と説明しました。
台日の防衛面での協力を提唱
石平議員は台湾の政界とあまり交流していませんが、中国は日本と台湾にとって共通の最大の敵だとし、外交だけでなく防衛面での交流・協力を強めるべきだと訴えました。
石平議員は、「私は現在、日本の国会議員でもあるので、あまり具体的なことを言うと、また外交上の問題を引き起こすかもしれない。しかし、私は、中国の脅威に対抗し、この台湾海峡を守り、アジアの平和を守るという点において、日本と台湾は、国防を含め、防衛事務で幅広く深い交流と協力を行うべきだと考えている。そうしてこそ中国に対して一種の抑止力を生み出し、あるいは彼らが軽々しく行動できない状況を作り出すことができるのだ。」と語りました。
台湾海峡の危機「短期的に軍事行動は困難」
石平議員は台湾海峡危機についても言及しました。中国の習近平・国家主席による軍隊粛清が戦力を弱め、特に習氏が抜擢した中央軍事委員会の何衛東・副主席は少なくとも排除されたと確定できる。そのうえで「習近平氏の権力基盤も揺らいでおり、2027年の党大会で退陣する可能性が極めて高い。こうした兆候から、中国人民解放軍が短期的に台湾侵攻を仕掛けるのは難しいだろう。中国共産党内の指導者層の権力構造に大きな変化が生じる可能性がある」との見方を示しました。
(編集:王淑卿)