「41.3%」
教育部体育署(台湾においてスポーツ関連の最高行政機関、現在は「運動部(スポーツ省)」という名の新たな省庁へ格上げされた)の調査により判明した、2024年における南部・高雄市に住む人の「肥満率」
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高雄市に住む人の「肥満率」41.3%という数字は、高雄市の人口に対する割合であり、体重と身長から算出され肥満度を表す指標として国際的に用いられている「BMI」の値が24以上の「肥満」に分類された人を対象としています。41.3%ということは、平均すると5人に2人が当てはまる計算になります。実は高雄市は、六大直轄市、つまり北部・台北市、新北市、桃園市、中部・台中市、南部・台南市、高雄市の中で最も肥満率が高いだけでなく、唯一その割合が増加している都市でもあるのです。一方、六大都市のうち同じく南部に位置する台南市の、人口に対する肥満率は39.7%であったものの、過去10年間で肥満人口の増加率が7.2%に達し、六大直轄市の中で最大の伸びを示しました。
ちなみに台湾全体で見てみると、衛生福利部(厚生労働省に類似)の国民健康署の最新の統計によると、台湾の18歳以上における肥満率はすでに50.8%に到達、2人に1人が該当していることになります。
そんな中、特に高雄市の割合が高い要因の一つとして、南部は台湾の中でもより暑さが厳しい地域であり、ゴミ出しなど短い距離でもバイクで移動する人が一定数おり、運動量が不足していることが挙げられます。またこんなデータからも、高雄市の肥満率が高い要因が垣間見えます。それは家庭における支出額のうち、飲食に占める割合が高いこと。台湾の中央行政機関の一つである「行政院主計総処」が公表した昨年度の家庭収支調査によると、高雄市では家庭における外食を含む飲食費が平均で支出全体の29.68%を占め、六大直轄市の中では台南市の29.16%を上回り、トップに立ちました。つまり高雄市が六大直轄市の中で最も「食への欲求」を重視している都市ということになるのです。過去10年間を見てみると、台南市と高雄市の家庭における飲食費が占める割合は、それぞれ5年間ずつトップを取っており、両都市の「食」への重視度は、まさに互角といえます。
確かに南部の街には、日常に彩りを添えてくれる魅力的な台湾グルメがあふれています。例えば、2023年度の調査によると、夜市(ナイトマーケット)は台湾全土に160ほどあるのですが、そのうち3分の1に迫る49が台南市に、そして約30が高雄市にあり、合わせると台湾全体の半分近くの夜市がこの2都市にあることに。台湾グルメをより身近に楽しめるのです。また、 南部では、甘めもしくは濃いめの味付けの飲み物や料理が他の地域より好まれている傾向にあります。
このように、暑さがより厳しい南部・高雄や台南市では、運動不足や、甘い味、濃い味付けの食べ物・飲み物を好む人が多いこと、そして、日常で「食」に対する支出額が多いことなどから、他の地域よりBMIの値が高い、肥満とされる人が多い傾向にあるのです。
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「8年ぶり」
日本の現職の副大臣が台湾を訪れるのは2017年に当時総務副大臣であった赤間二郎氏以来8年ぶり
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今月4日から6日にかけて、日本の農林水産副大臣である滝波宏文氏が台湾を訪問しました。
実は日本の現職の副大臣が台湾を訪れるのは2017年に当時総務副大臣であった赤間二郎氏以来8年ぶりのことです。また、それ以前は2002年に当時経済産業副大臣であった古屋圭司氏が、2006年に農林水産副大臣であった宮腰光寛氏が、2013年に総務副大臣であった柴山昌彦氏がそれぞれ訪問しています。
今回滝波農林水産副大臣は、台湾訪問についてSNS「X」にて「参議院議員としての政務活動での出張であり、副大臣の公務ではない」と説明した上で、「これまで続けられてきた、現職の副大臣による台湾訪問の灯火を、コロナ禍を超えて続ける事ができて良かったと思う。今回は台湾訪問にて農林水産関連イベントの来賓として挨拶を述べた」と明かしています。日本政府は中国に対する配慮から政府高官の台湾訪問を自主規制しており、現職の副大臣が訪れるのは珍しいことです。
今回はさらに、蔡英文・前総統や立法院(国会)の江啓臣・副院長(副議長)、アメリカの対台湾窓口機関であるアメリカ在台協会台北事務所(AIT/T)のレイモンド‧グリーン(Raymond Greene)所長、台湾の駐日大使に相当する、台北駐日経済文化代表処の駐日代表を2016年から昨年まで8年間務めた謝長廷氏などと会談を行ったということです。
実は滝波氏は今年5月に実現した、台湾出身者が日本側に提出する戸籍の国籍欄(例えば、台湾出身者が日本で婚姻届や出生届など戸籍の国籍欄がある届出を出す時)に「台湾」と表記することを可能とする戸籍法規則の改正に大きく尽力した「日華議員懇談会」のメンバーでもあります。「日華議員懇談会」は日本と台湾の関係強化を目的とした超党派議員連盟で、ここに属する「戸籍における国名表記問題に関するプロジェクトチーム」の座長をつとめました。滝波氏の夫人が台湾出身者であることから、日華議員懇談会の古屋圭司会長から座長を指名されたといいます。今回、この戸籍問題で交流があったこともあり、台湾の駐日大使に相当する、台北駐日経済文化代表処の駐日代表を2016年から昨年まで8年間務めた謝長廷氏との会談が実現したといい、台湾のテレビ局3社からのインタビューにも応じました。ここからも台湾側は、滝波氏が台湾出身者の日本での戸籍問題を解決したことに関心があったことが伺えます。
一方、現職の日本の大臣が台湾を訪問したことがあるのかというと、日本が中国と国交樹立したことに伴い中華民国と国交断絶を余儀なくされた1972年以来、まだ一度もありません。
今後、現職の大臣といった閣僚レベルの人物による台湾訪問は実現するのでしょうか?