先月19日、アメリカのアップル社によるiPhoneシリーズのうち、今年度の新商品、iPhone17シリーズが発売され、世界中で話題になりました。毎年新シリーズが発売される時期になると、どんな新たな機能が付け加えられるのか、どんな色・形なのか予想する人たちで盛り上がりますし、いち早くゲットするため発売当日の朝に並んで購入する人たちも見られ、一年に一回の風物詩となっています。
日本で携帯電話を所有している人のうち、スマートフォンを利用している人は2015年に50%を突破し、2024年時点で97%にまで上ること、そして世代別にみると、小学生から中学生へ進む節目の12歳で6割超え、70代のシニア層でも9割超えで、スマホを持っていない人は日本全人口の1割未満だったことが、NTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所の調査で判明しています。
特に日本ではiOS(iPhone)のシェアが非常に高く、スマホ所有者のうち半分以上を占める約6割を占めています。 世界のiPhoneシェアが約3割弱であることからみても日本はiPhoneユーザーが多いことが分かります。また、日本では2020年3月からソフトバンク、ドコモ、auの3つのキャリアで通信速度が従来の4Gに比べ20倍早いとされる5G(ファイブジー)のサービスが開始され、現在も急速なサービス拡大が進んでいます。NTTドコモ モバイル社会研究所が2025年1月に実施した調査によると、日本の5G利用率は初めて50%を超え、携帯電話使用者全体の52%に達したことが明らかに。この結果は、「4G LTE」や「Wi-Fi」の利用率を初めて上回り、現在5Gが日本で最も利用されている回線であることを明らかにしました。
と、ここまで日本について説明しましたが、台湾のスマホ事情はどうなのでしょうか?
台湾では現在、16歳以上の国民のうち実に98.6%がスマホを含めた携帯電話を所有しており、 16~64 歳を対象に実施された調査では、 スマホ所有率は95%と日本人のスマホ所有率とほぼ同じです。ただインターネットの平均利用時間については台湾の方が圧倒的に長く、日本の1日3時間56分の約2倍に当たる7時間13分、そしてSNSの平均利用時間では日本は1日53分、台湾では約2倍の2時間と、台湾ではいかにネット使用の時間が長いかが分かります。
私も台湾で電車やバスに乗っていると子どもからお年寄りまでのほとんどの方々がスマホを操作しています。
路上の歩行者も歩きスマホをしている方が多く、バイク大国な上道が狭い台湾では、ヒヤッとする場面を見かけることが少なくありません。
最新の通信規格「5G」に関してですが、台湾では日本より3ヶ月遅れた2020年6月30日に台湾最大の電気通信事業者「中華電信」がサービスをスタートさせたのを筆頭に、他の事業者も順次スタートさせ、昨年11月末時点で5G契約数は全ての携帯電話利用者の3分の1にあたる1,000万7000件に到達。今年7月時点では1,116万件を突破し、普及率は4割近くにまで迫ってます。
台湾における3Gサービスは昨年6月末で正式に終了したこともあり、台湾の5G利用者数は現在、毎月十数万件のペースで安定的に増加しています。
一方、5Gへ移行していない「4Gユーザー」は台湾全体で依然として5G利用者よりも600万人ほど多く存在します。台湾の5G無制限使い放題プランの最低料金は韓国や日本の約8800〜9800円よりも2〜3000円安い1,399台湾元(約6800円)であるのに対し、5Gサービスが始まってから5年が経った今でも「4Gユーザー」の方が多い理由として、台湾における通信分野の規制を行う独立行政機関「国家通信放送委員会(NCC)」はこんな理由を挙げています。最大の理由は料金の高さではなく、「現在の4Gの速度とサービスで十分満足している」です。実際私も台湾でずっと4Gを利用していますが、動画などを見る時も困ったことはありませんし、友人の5Gのスマホと比べても特に大きく速さの違いを感じません。台湾の4Gは高品質かつ低価格、いわゆるコスパがいいので、依然として多くの利用者がいるということなのです。
「4Gユーザー」の方が多い理由、他には一部のスマートフォンがまだ5Gに対応していないこともあります。また、5Gへ移行するユーザーの多くは「割引やキャンペーンに合わせて」スムーズに乗り換える傾向があり、例えば昨年秋にiPhone 16シリーズが発売された9月から11月の3ヶ月間、5Gの新規契約数が毎月16万件以上増加、これは5Gの新規契約をした場合新しいiPhoneがお得に買えるキャンペーンがそれぞれの通信事業者で展開されたためです。台湾ではスマホで動画を視聴する人が多いことや、動画など容量の大きいデータのダウンロード速度向上へのニーズも、5Gへアップグレードする意欲を高める要因となっています。
今回iPhone17が台湾でも19日に発売され、中華電信は午前8時から、全国約500店舗およびオンラインショップで一斉発売を開始したのですが、中には発売9日前から並び始め合計200時間以上並んだというある男性が注目を集めました。この男性は過去6年間毎年発売前に並んでいるそう。他には、7日間並んだという人も。ちなみにこういった「一番乗り」の人のことを中国語で「頭香」と言います。「頭香」はもともと、縁起や幸運を願うため旧正月の子の刻(深夜0時頃)に供えた一本目のお線香のことを指し、そこから意味が派生し「一番乗り」を指すネット用語になりました。
物価が上昇している台湾では少し値段の張る5Gの利用率が4割未満にとどまっていることもあり、企業側に対し5Gプランの値下げを求める政治家もいます。そんな中通信事業各社は、お得なプランを打ち出したりなどして経営方針の重点を従来の4Gから5Gへと移しつつあります。
台湾の専門家の中には、今後1~2年のうちに、台湾の5Gの契約数が4Gの契約数を上回ると予測している人もいます。
今後のスマホを巡る動向はどのようになっていくのか、注目です。