台湾の観光に関する行政機関「交通部観光署」は先月、今年(2025年)上半期(1~6月)に台湾を訪れた外国人観光客の統計を発表しました。合計のべ約420万人が訪れ、前の年の同じ時期約381万人と比べ約1割増加、しかし、新型コロナウイルス流行前の水準の約70%にとどまりました。
観光署は昨年、当初、「2024年に台湾を訪れる外国人旅行者数を1,200万人」とする計画を立てていましたが、その後1,000万人に下方修正、結果、年間786万人にとどまりました。陳世凱・交通部長は昨年の取材で「2024年に達成できなかった目標は2025年に持ち越す」と明かし、今年の目標も引き続き1,000万人であるとしていました。ただ、今年上半期の統計が昨年と比べ約1割しか増加していない状況を受け、観光署長の陳玉秀(ちん ぎょくしゅう)氏は先月取材を受けた中で、この1,000万人達成の目標について多くを語らず、「900万人を超えるのは特に問題ないはずだ」とだけコメントしました。
では今年上半期に台湾を訪れた旅行者は主にどこの国・地域からなのでしょうか?
最多なのは日本からで、68万人、全体の16%を占めました。次いで香港・マカオからが61.2万人で全体の14.5%を占め、韓国からが53.1万人で13%を占めました。4位からは順に、米国、フィリピン、中国、シンガポールからとなっています。注目すべきは、上半期に訪れた「中国」からの旅行者が前年比65%増加した点です。これは台湾の離島・金門、馬祖と中国とを結ぶ渡航ルート「小三通」の再開が主な要因とされていて、これを利用した金門や馬祖への旅行者が増えたことが背景にあるようです。また、今年6月においては香港と韓国から台湾への旅行者数でそれぞれ前年の同じ時期と比べ約7%減のマイナス成長が見られました。観光署はその要因として、香港に関しては「地震に関するデマ」を挙げ、台湾を訪れる人数が減少しただけでなく、日本への旅行者も大幅に減少したと発表しています。また、韓国からについては韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が4月に罷免されたことを受け、6月3日に大統領選挙が行われ政権交代したりと国民の間で政治的不安や混乱が広がり、国民の海外旅行意欲が低下したためとしています。
ただ観光署は、第4四半期(10~12月)は台湾を訪れる旅行者が増え観光のピークシーズンを迎えると予想。海外で協力プロジェクトや大型プロモーション活動を予定しており、第4四半期の旅行者数をさらに増やす方針を示しています。
一方、今年上半期に台湾から海外へ旅行した人はどれくらいいたのでしょうか?
交通部観光署の統計によると、のべ914万人が海外へ行き、前年の同じ時期と比べ約11%増加、この数は単純計算すると、台湾人の2.6人に1人が海外旅行に行ったことになり、コロナ前の数を超えただけでなく過去最高記録を打ち立てました。今年上半期の出国と入国の人数差は494万人に達しています。
人気旅行先一位は日本で、約3割を占める延べ約327万人が訪れました。次いで中国、韓国、香港、ベトナムとなっています。ただ日本と2位の中国への旅行者数を比べると2倍以上の差があり、台湾人の日本人気が分かります。
と、ここまで旅行に関するデータをご紹介したのですが、旅行の醍醐味として、現地のグルメを楽しんだり、観光地を巡るだけでなく、現地の人の生活を観察するのもお好きという方、いらっしゃるのではないでしょうか?私も旅行に行くと、ついつい現地で人間観察をしてしまいます。
というのも最近、ある日本人女性が台湾で暮らす中で驚いたことをSNSでシェアし話題になりました。
彼女は大阪出身の「Erica」さん。台湾でコンビニを訪れる中で、店の外にもお菓子やトイレットペーパーなど多くの商品が陳列されているのに万引きが起きていないことについて、「台湾には泥棒がいないのか?」というショート動画をアップしたのです。Ericaさんは「もし自分が店員なら心配になる」と述べたほか、特に店員がバックヤードに行き売り場は無人のまま店外に商品が置かれている光景に驚きを隠せなかったといいます。また、台湾ではカフェでもスマホやパソコン、財布やカバンを置いたまま席を離れる人が多い。「皆、人の善意を信じすぎているのでは?」日本もヨーロッパに比べたら安全だが、それでも日本人は日頃から警戒心を持っている人が多いと思う。自身も日本のカフェでトイレに行く時は持ち物を持っていく。大阪は治安が良くなく有名なひったくり防止のスローガン「きいつけやーあんたのことやでそのバック」がある。大阪人なら聞いたことがあるであろうこのようなスローガン、台湾にはないのか?と紹介。そして、「やっぱ台湾めちゃくちゃ治安良いで!台湾の人は海外に行く時気をつけてやー」と呼びかけ、最後に視聴者に向け「台湾と日本、どっちが治安良いと思う?」と問いかけました。この動画に2万を超える良いねが付いたほか、台湾と日本から合計1000以上のコメントが寄せられ、双方の様々な意見がシェアされたのです。その一部を紹介すると、「台湾では傘がよく盗まれる」とか「バイクの鍵を抜き忘れたことがあるが、盗まれなかった。でもバイクに残されたヘルメットや食べ物は盗まれる」とか「あちこちに監視カメラがあるから安全だ」のほか、「台湾では窃盗よりも詐欺や交通事故の方が深刻」とか「だから台湾人は海外でよく引ったくりに遭う」といったコメントも寄せられました。Ericaさんは大阪出身ということで、約1分間の動画の全編が大阪弁で構成されています。
私はすでに台湾で商品が外に並んでいる光景には慣れてしまい、特に驚きませんし、台湾の方にとっても日常風景の一つとなっているのかもしれませんね。
もちろん台湾でも盗難や引ったくりが皆無というわけではなく、最近では特に観光地で多くの被害が確認されています。私たちも、どこで旅行するにしてもどこで暮らすにしても身の回りのこと、ものには気をつけたいですね。