今回は、先月26日に台湾のある病院と大学が日本側と「がん研究における協力覚書」を締結した話題をご紹介します。
台湾側の病院とは、北部・台北市の台北栄民総医院(=病院)、1958年に設立され、現在台北市にある最も大きな国立病院のひとつに数えられます。1000名以上の医師が在籍し、1日の外来患者は1万人台、毎年200万人を超える患者を治療しています。2017年には海外から訪れる患者に向けた8カ国語に対応できる地上9階建ての門診ビルを完成させています。
そして台湾側の大学とは、国立陽明交通大学。2021年に、台湾で最初の医学系総合大学で医学教育の先駆者として知られる「国立陽明大学」と、電子工学分野で定評のある「国立交通大学」が合併し総合大学と成って現在の「国立陽明交通大学」に至ります。
日本側は国立がん研究センター中央病院。東京都中央区築地に位置し、世界最高レベルのがん治療を提供する国が運営する医療機関です。
この国立がん研究センター中央病院と台北栄民総医院、国立陽明交通大学が協力覚書を結び、今後、研究者や学生の交流促進、合同学術セミナーの開催、データ共有の推進を通じて、アジア太平洋地域のがん研究ネットワークの構築を目指すということです。
陽明交通大学の林奇宏・校長は、近年、大学側も多大な努力を注ぎ、「医学」と「工学」を合わせた新興学術分野「医工学(Engineering Medicine)」を創設したと明かしており、工学の概念や技術を活用して今後もがん研究を推進することを目指す。学術と医療の融合により、陽明交通大学は国立がん研究センターの今後の発展における重要な協力パートナーとなるだろうとしています。
国立がん研究センター中央病院の瀬戸泰之院長は、今後、人材交流を促進し、若手研究者の研修機会を提供するとともに、最新の科学知識を定期的に共有していくと表明。今後5年間にわたり、複数の分野で協力を深化させ、三者のパートナーシップをさらに強め、世界中のがん患者の利益に貢献することを目指すと述べています。
日本におけるがんを取り巻く状況は依然として深刻で、2人に1人は一生に1度はかかり、3人に1人はがんで亡くなる時代と言われています。
一方で台湾もがん患者が多く、2022年のがん登録の集計結果によると4分2秒に1人ががんと診断された計算になることが判明しています。昨年までの43年連続で死因のトップを癌が占めていますが、その中でも肺がんの死亡者が21年間に渡り最多です。台湾では、肺がん患者の3人に2人が過去に喫煙歴がないというデータもあり、今年1月から肺がんにかかったことのある家族がいるなどの条件を満たしている人に向けた無料肺がん検査を国が提供するなど、早期の発見・治療につながる取り組みを実践しています。
がん患者が多いという共通点がある台湾と日本の連携が、今回を機にさらに深まっていくことに期待です。