今週の数字は、、、
「2万5000台」
北部・台北市の電気自動車(EV)の保有台数
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この台北市の電気自動車「2万5000台」は台湾全土の約9万台のうち最多です。そんな台北市の南東部に位置しIT関連企業が集中する地域「南港区」の「南港高級工業職業学校」で台湾唯一となる「台北市スマート電動車技術教育センター」が先日設立されました。電動の自動車とバイク両方に対応した教育カリキュラムを整えるとともに、AI技術の導入も進めています。台湾で「高級工業職業学校」というのは日本の高校に当たる段階において技術系職業教育を提供する学校を指しています。
今月初めに行われた除幕式で、台北市の蔣万安・市長は「世界的に電動車産業の流行が進む中、専門人材への需要はますます高まっている。次世代への投資こそ、台北の未来への投資だ」と強調しました。
というのも電気自動車は、走行中にCO2が発生しない点から環境への負荷が少なく地球温暖化の進行を抑えられ、静かでもあるため、次世代都市交通システムとしてより持続可能な都市づくりに役立つとされています。
台湾では、2020年以降、電気自動車の登録台数が1万台を突破してから、顕著な増加傾向を示しています。2024年末時点では9万台を突破し全国の小型乗用車・小型貨物車の登録台数(約840万台)のうち普及率は1.1%となりました。これは2023年と比べて63.9%の増加にあたります。また、販売台数も増えており、2024年は台湾全体で約3万8,000台となり前年と比べ53.5%増加しました。海外の企業も含めた台湾におけるEVブランドも、2021年の10社から2024年の23社と、年々右肩上がりに増加しています。
2024年におけるブランド別(上位5位)の台湾でのEV販売台数をみると、1位は2023年に引き続き、米国の電気自動車メーカー「テスラ」が40.2%のシェアを占めましたが、テスラ以外のブランドの参入が増えたことで、シェアは2022年(72.0%)、2023年(53.1%)と、年々低下しています。2位は台湾の自動車メーカーで日産の台湾生産を受託している「裕隆汽車(ユーロンきしゃ)」が立ち上げた高級車ブランド「ラクスジェン(Luxgen、納智捷)」で(シェア18.7%)。3位はドイツのBMW(16.7%)、4位はドイツのメルセデス・ベンツ(6.4%)、5位はスウェーデンのボルボ(4.3%)となっています。
一方、世界市場では、2024年の電気自動車の販売台数は約1,110万台、「プラグインハイブリッド車(PHEV)」と呼ばれるガソリンと電気の両方を使って走る自動車は約666万台となり、合計で約1,776万台に達しました。これは前年と比べ約27%の成長となります。2030年には世界の電気自動車販売台数が2200万台に達すると予測しているデータもあります。
このように電気自動車市場が近年急速に発展する中、台北市の「南港高級工業職業学校」で今年設置された「台北市スマート電動車技術教育センター」は、三つの大きな特色を打ち出しています。
第一に、裕隆汽車の傘下のブランド「ラクスジェン」が教育資源や専門訓練を提供し、カリキュラムの策定や教材の作成、選択などを実施。さらに、2021年にラクスジェンが設計した同ブランド初の台湾生産EV「ラクスジェンn7(えぬ せぶん)」を学校側に寄贈し、学生が産業と密接に結びつきながら学べる環境を整えました。
「教育センター」第二の特色に、カリキュラムの核心が「カーボンニュートラル」、「環境保護」、「省エネ」であることです。
第三に、AI技術を結合させ分野を横断した教育を導入したこと。AIロボットアームによる自動車検査プラットフォームなど、最新の自動化技術を取り入れています。
台北市教育局は、今回の事業に協力した各企業に謝意を表しています。ラクスジェンによる車体の寄贈をはじめ、他の企業からも合わせると合計200万台湾元(約970万円)を超える支援がありました。教育局自身も700万元(約3千4百万円)以上を投入し、最新の電動車整備・検査用機器を導入することで、教育現場の環境を大幅に充実させたということです。
同学校の自動車科2年生のある学生は「AIロボットアームを導入することで、人の目では見分けられない細部まで確認でき、作業時間の短縮にもつながる。産業と教育機関の連携は将来の就職にも役立つ」と話しています。
また、同学校の蕭為康・校長は「センターの教育は高校の段階にとどまらず、中学校の段階へも展開している」と強調。すでに台北市内の5つの中学校と連携し、「電動車の基礎メンテナンスのやり方」などの体験授業を実施し、中学生が見学や実習を通じて早い段階から産業に触れられるよう取り組んでいると説明しました。
台湾での電気自動車の進展については、個人が乗る乗用車にとどまりません。2030年までに全国の路線バス約1万1,700台を台湾産の電動バスに置き換える計画が政府により進んでいるのです。ただ、2020年に計画がスタートした後、電動バスの製作コスト、充電スタンドの購入額、充電用駐車スペースの不足の問題のほか、電動バスの一部部品は欧州から調達されており調達に時間がかり納車が遅れていることなどから、 2024年末時点の統計では、7つの県と市では電動バスの台数がいまだにゼロ、台北市、台中市、台南市、高雄市、嘉義市を除く17の県と市では普及率が3割未満にとどまっています。この結果から、電動バスの普及が全国的な課題となっており、中央政府による包括的な見直しが必要であることが明らかになっています。
台湾初の国産電動バスが製造されたのは早くも2008年、そこから18年が経った今、環境に配慮した電動車の更なる導入に向け、台湾は様々な課題と向き合い続けながら前へ進んでいます。