<第1セクション:今年法改正のあった「多放4+1天假(4+1祝日増加)」とは?>
2025年10月は、祝日に伴う連休が例年にない多さとなった。10月6日「中秋節」、10月10日「雙十節」、10月25日「光復節」。前月の9月28日「教師節」も含めると、この一か月で祝日が4日、三連休も4回発生する珍事となった。これは旧暦の閏月による中秋節のずれと、今年5月の法改正により、24年ぶりに「教師節」「光復節」が祝日として復活したことが原因である。
立法院(国会に当たる)は、今年の5月に「紀念日及節日實施條例」を改正し、(1)旧暦「除夕(大晦日)」前日の「小年夜」を国定休に(2)従来労働者のみだった5月1日「勞動節」を公務員にも拡大して全国民休に(適用対象拡大のこの祝日を「+1」日とカウント)(3)「教師節」「光復節」「行憲紀念日」を復活・恒常化することで、合計5日の新たな休暇を導入した。
背景には「還假於民(市民へ休暇を戻す)」という政治的メッセージがあり、「補班(代替出勤)」運用に対する不満解消の狙いがある一方、復活した祝日群が中華民国史観を反映するものが含まれるため、台湾本土派の層からは政治的意図を巡る批判も根強い。
祝日増加のメリットとしては、休暇機会の増加による生活の質向上、家族時間や帰省・心身のリフレッシュ、観光・小売・飲食の需要喚起が期待される点である。また、「労働節」の全国民適用は労働者保護の象徴とも評価される。
ここで蔡依林(ジョリーン・ツァイ)の『日不落(陽は沈まない)』を紹介する。愛を太陽に例えたポップナンバーで、休日のドライブにピッタリの一曲。
<第2セクション:「多放4+1天假(4+1祝日増加)」の否定意見>
この制度の否定的意見は主に経済界から出ている。業種によっては人件費の増加、稼働ロス、物流の非効率が生じ得ること、特に製造業や輸出業、24時間稼働が必要な分野では代替人員やシフト調整のコストが大きいことが指摘される。医療・公共交通・金融などのサービスが断続的に低下し、利用者への不便を招く懸念もある。
さらに、立法院での議論と行政院(内閣に当たる)との擦り合わせが不十分なまま採決に進んだとの批判があり、特定の時期(特に10月)への祝日集中による実務上の混乱を招いた側面もある。祝日の名称や復活自体が政治的対立を助長するとの懸念から、日本の「海の日」「山の日」などの例を引き合いにして、政治色を薄めた名称運用を求める声もある。
実務的提言としては、「補班(代替出勤)」「補假(代替休暇)」の基準の明確化、業種別の柔軟運用、重要分野の最低稼働保障と代替手当、観光の分散化策、コスト増となる企業向けの短期支援や勤務調整ガイドラインの提供が有効になろう。祝日が社会的合意に基づく記憶の共有である以上、与野党での十分な協議と国民理解の醸成が不可欠である。
ここでLEO王 feat. 9m88の『陪妳過假日(君の休日に付き合って)』を紹介。休暇を共に過ごす幸福感が滲むヒップホップ/R&Bの好曲である。
<第3セクション:国民の休日制度変遷の日台比較>
日本の祝日制度は明治期に成立し、皇室・国家的儀礼に即したものだったが、戦後は「国民の祝日に関する法律」により、宗教色を排して民主主義や文化を象徴する日へと転換した。近年は「ハッピーマンデー」や「山の日」など、近年の社会的価値を反映する改編を経ている。
台湾は日本統治期、国民党一党独裁期、民主化以後と統治形態の変化に応じて祝日が再編されてきた。日本統治時代には日本の本土と同じく皇室の祝祭日が中心であったが、戦後は「雙十節」「光復節」など中華民国としての記念日に置き換えられた。その後は経済成長や民主化が進行する過程で祝日は整理され、政治的象徴から文化的価値観を共有する日へと再定義された。
したがって、2025年の「教師節」「光復節」の復活は、時代に逆行するという意見には頷ける。ただ、敢えて前向きに捉えるならば、これもこの土地の過去から現在までの記憶の再可視化の一環であり、同時に台湾社会の多元的記憶を包摂する試みでもあると言えなくもない。
政策評価の観点からは、政府が観光消費、企業収益、労働者の休暇取得率、社会的満足度といった指標で事後評価を行い、補完策を実施していくことが重要だ。祝日とは単なる休日ではなく、その国の統治の正統性と文化的アイデンティティをめぐる写し鏡として、時代ごとに再構築され続けてきたものなのである。
最後に家家(Jia Jia)の『I Love You Bon Bon』を紹介する。明るく軽快なメロディーが、長い連休の余韻を優しく彩る一曲である。