<オープニング>
11月15日・16日、新北市淡水の「淡水文化園区(シェル倉庫D棟)」で「淡水×磐梯町 愛着交流音楽会〜 日本と台湾、海を超えた音楽の絆を感じる2日間(日本会津磐梯町祭 2025)」が開催された。福島県磐梯町が淡水文化基金会と連携して実施した文化交流企画で、同町が秋に行った台湾向けプロモーションの延長線上にある取り組みである。
前日の14日には台北市内で「会津磐梯町座談会」も開かれ、佐藤淳一町長、作家・俳優の一青妙さん、磐梯町観光大使の李明勲さん、初代磐梯町観光大使でNeoBalladの若狭さちさんらが登壇。磐梯山や名水、サイクリング、文化など多様な視点から磐梯町の魅力が語られた。
音楽会では、日本からは「テクノ民謡」ユニット NeoBallad、台湾からは15日に八得力樂團のリーダー阿家(A-Ga)がソロで、16日には私と琵琶奏者の蘇若暐も加わり、八得力樂團のフルメンバーで出演。会場は終始温かく、両地域の風景や文化への「愛着」が音楽を通して共有される場となった。
本日はこの「淡水×磐梯町愛着音楽会」が開催されることとなった経緯、日本側から参加した音楽ユニットNeoBalladさんの魅力、音楽会実施後の参加者からの反響などについてお話ししていきたい。
<第1セクション:佐藤淳一町長が語る「開催のきっかけ」>
磐梯町は人口3,000人ほどの小さな町で、町域の約7割を森林が占める自然豊かな地域。町の象徴・磐梯山は標高1,816m、麓の湧水や大谷川の清流が生活を支えている。
佐藤町長は淡水を初めて訪れた際、淡水河対岸にそびえる観音山の姿に、故郷・磐梯山の面影を見出したという。「海を隔てても心が通じ合う風景」と語り、この共感が交流イベントの出発点となった。淡水の夕陽と磐梯山の朝日という「昇る太陽と沈む太陽」が象徴する繋がりを、佐藤町長は今回のステージの挨拶でも強調している。
会場では磐梯町の名水を使った台湾茶の提供もあり、来場者は風景だけでなく、町の「水」の魅力も味わうことができた。デジタル通貨「ばんだいコイン」や国内初の「最高AI責任者(CAIO)」の設置など、先進的な行政で知られる佐藤町長だが、風景や文化をめぐって語る言葉には詩的な感性も感じられた。
ここで、先週に引き続き『淡水暮色』をお聴きいただきたい。先週は作曲者の洪一峰さんのバージョンだったが、本日は江蕙さんのバージョンでお届け。
<第2セクション:日本側参加バンドNeoBalladの魅力>
公演では『会津磐梯山』などの民謡がテクノ調にアレンジされたNeoBalladのステージ、『観音山的記憶』『淡水暮色』など地元に根差した楽曲が阿家や八得力樂團の演奏で披露された。ジャンルの異なる両国の音楽が同じステージで響き、「土地への愛着」が音楽を通じてごく自然に交差していった。
NeoBallad は2012年に結成された2人組ユニットで、民謡を現代的に再構築する独自のスタイルが特徴。若狭さちさんの「天然ボーカロイド」と呼ばれる伸びのある歌声、上領亘さんの「千手観音」と評される超絶技巧のドラムが融合し、国内外で高い評価を得ている。
ステージでは、『相馬盆唄』で八得力樂團も加わり、観客と一体となって盆踊りを披露。アンコールではNeoBallad と八得力樂團が共演し、淡水の名曲『流浪到淡水』を若狭さんが台湾語で歌い切ると、会場からは歓声と拍手が湧き上がった。最後の楽曲『青春迪斯可』では会場全体が総立ちになり、2日間を通じて最高潮の盛り上がりとなった。
私も生でNeoBalladさんの演奏をステージ袖で聴きながら、存分に楽しませてもらい、すっかり彼らのファンとなった。ここでNeoBalladさんの演奏で、日本百名山の一つでもある磐梯山を歌った『会津磐梯山』をOA。
<第3セクション:「愛着音楽会」の反響と今後>
会場の淡水文化園区・シェル倉庫は、地元の芸術・文化活動の拠点として知られる歴史的建造物で、今回の企画は淡水文化基金会と磐梯町が共催。現地での制作・運営はコミュニケーション・デザイナー辛正仁さんのチームが担当し、オンライン登録制や動線管理を含め、丁寧なオペレーションが実施された。
台湾国際放送のニュースやSNSでもイベントは紹介され、日台の音楽家の共演、観客の手拍子やダンス、言葉を超えた一体感が大きな反響を呼んだ。参加者からは「心が温まるステージだった」「また淡水で、また磐梯で会いたい」という声が寄せられた。
NeoBallad の二人とは音楽家としての友情も深まり、帰国前夜には八得力樂團のメンバーでささやかな晩餐会を主催。阿家も「素晴らしい国民外交ができた」と語り、若狭さんからは「もう台湾ロス」との言葉も聞かれた。磐梯町側からも八得力樂團に対し「次回は磐梯町で」との招待があり、交流の継続が期待される。
双方向の交流こそが本当の意味での文化交流であり、その原動力となるのが「愛着」――風景、人、土地への思いなのだと改めて考えさせられる2日間だった。
本日お別れの曲は、今回の音楽会のアンコールでNeoBalladと八得力樂團の共演で披露した『青春迪斯可』を、今年リリースされた八得力樂團のバンドマスター阿家(A-Ga)のソロバージョンでをOA。