今日ご紹介するキーワードは「尿袋」。
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今年(2025年)1月、韓国の航空機内でモバイルバッテリーが原因と疑われる発火事故が発生しました。これを受けて、韓国ではモバイルバッテリーの機内持ち込み規制が強化され、座席前のポケットに保管することが義務付けられました。
こうした流れの中で、台湾でも3月1日からエバー航空とチャイナエアラインなど台湾系の主要航空会社6社が飛行の安全を理由に、機内でのモバイルバッテリーや予備用リチウム電池の使用・充電を全面禁止にしています。また、持ち込めるバッテリーの容量も基準があり、160Whを超えるものは機内に持ち込むことができません。
日本でも7月からモバイルバッテリーの機内持ち込みや管理ルールが改めて明確化されましたよね。
日本では、モバイルバッテリーを機内に持ち込む際のルールとして、「容量が160Wh以下であること」や「預入荷物に入れない」、「頭上の収納棚には入れない」など、基本的には台湾と共通する点が多くなっていますが、それに加えて、経済産業省が、安全表示規則に違反している疑いのあるモバイルバッテリーやその他電子製品について、製造業者や輸入業者のリストを公表し、消費者や電子商取引プラットフォームが当該製品を店頭から撤去するための参考情報を提供する方針を示しました。この動きも台湾でニュースとなりました。
そのニュースの中で、ある一つのタイトルが話題となりました。そのタイトルは、「中國製『尿袋』引火災日本出手整治將公佈涉違規清單(中国製「尿袋」が火災を引き起こす。日本が対策に乗り出し、違反リスト公表へ)」というものでした。
ここに登場する、今日のキーワード「尿袋」。
この単語自体をそのまま訳すと「尿をためておく袋」となります。医学上ではその名の通り、医療用品の名前ですが、ここではそう、「モバイルバッテリー」のこととしてこの単語が使われていました。
私も最初にこのニュース記事を読んだとき、「尿袋」?って思いましたが、ニュースの内容から「モバイルバッテリー」のことを言っていることがわかりました。
でもなぜ「モバイルバッテリー」のことを「尿袋」というのか気になってちょっと調べてみたところ、この言い方はどうやら香港から来ている俗称なんだそうです。
なんでも、香港ではモバイルバッテリーを挿してスマホを使う様子がまるで患者さんが「尿袋」を持ち歩いているように見えるとしてこの呼び名が登場。この俗称はほかの「移動電源」や「充電要塞」、「モバイルバッテリー」といった一般的な名前よりも強いインパクトがあったため、瞬く間に香港市民に広まり、日常会話に定着したんだそうです。
実際、香港の検索サイトで「尿袋」を検索すると、モバイルバッテリーに関する記事がたくさんヒットしますし、香港のECサイトでは「尿袋」を検索すると、真っ先に表示されるのは本物の「尿をためておく袋」ではなく、モバイルバッテリーの方なんです。
この俗称は台湾でも数年前から一部の若者の間で使われるようになりましたが、台湾全体ではあまり広まらなかったようです。ただ時々、このようにネットの記事で見かけたりします。
この使われ方を知らないとびっくりしますよね。
あるネットユーザーは、「以前、香港の友人から『尿袋貸して』と言われたとき、数秒間意味が分からなかった。充電が切れそうだから『モバイルバッテリー』を貸してという意味だった」と書き込んでいました。
ちなみに、モバイルバッテリーの呼び方は地域によって様々です。
香港ではこのように「尿袋」と言いますが、マカオでは「奶媽」と呼ばれているんだそうですよ。
一方、台湾では「行動電源」、中国では「充電寶」と言うので、同じような中国語の記事でもこうした言葉の違いに注目すると、どの地域の記事なのか、どの地域の話題なのか見えてくることもありますよ。ぜひ注意して読んでみてくださいね。