①「年間10日以下」
労働部(日本の厚労省に類似)は11月20日、労働者の休暇取得に関する規則を改正したと発表。その内容として、来年1月1日以降、労働者が1年間で取得した病気休暇が合計10日以内であれば、雇用主は労働者に対して不利益な扱いをしてはいけないことを明確に定めるとしています。
この発表は、今年9月に台湾の航空会社であるエバー(長栄)航空の客室乗務員がイタリア・ミラノを出発し桃園国際空港行きの国際線の勤務中、上司に体調不良を訴えたにも関わらず聞き入れてもらえず勤務を続け、結果、台湾帰国後の10月10日に死亡したことを受け、その後現行の労働法の改善点が検討された結果によるものです。
労働部の李健鴻・政務次長(副大臣)は記者会見の中で、現行の労働法が労働者の「病気休暇権」を十分に保障しているかどうかに懸念があると指摘。その上で、事件が起こった当時の経緯と原因を明らかにするため、労働部職業安全衛生署はエバー航空の本社がある桃園市の労働検査処と共同で、該当の客室乗務員が死亡してから3日後の10月13日から11月10日にかけて、当時の他の客室乗務員、該当社員の家族、労働組合代表へ聞き取り調査を実施した結果、実際に病気を抱えたまま出勤したり、病気休暇を取りにくい状況があることが確認されたとしています。
労働部の計画によれば、来年1月1日の「労働者の休暇取得に関する規則」改正後に雇用者が違反した場合は、労働基準法に基づき2万から100万台湾元(約10万円から499万円)の罰金が科されることになります。
労働部はまた、規則の改正について以下の4つの点を挙げています。
一つ目は、冒頭で話した通り、「労働者が1年間に取得した病気休暇が合計10日以内の場合、雇用者は不利益な処分を行ってはならないことを明確化すること」。
二つ目は、「労働者が不利益な処分を受けたと訴えた際、雇用主が証拠を提示する責任を負うこと」。
三つ目は、「雇用主は人事評価の際、病気休暇の取得だけを理由に評価してはならず、労働者の勤務能力や態度、実績などを総合的に判断すること」。
そして四つ目は、「皆勤手当ての減額は合理的でなければならず、比例原則に反したり、病気休暇で全額不支給とするような扱いをしてはならない。これにより、労働者が病気休暇を取りやすい状況をつくる」
労働部はこの4つの面から労働者の病気休暇権を保障するとしています。
台湾では元々労働基準法の中に病気休暇制度が含まれており、労働者の就業中以外に起きた病気やけがによる休暇は、入院の有無によって規定が異なります。「入院していない場合:申請した病気休暇の1年間の合計日数が30日以内の場合、半給扱いとなり、30日を超えると雇用者は給与を支払う義務はない」とされ、「入院した場合:2年間の合計は1年を超えてはならない」としています。また、がんの通院治療や妊娠期間の休養の場合、その期間は入院休暇期間とみなされると定めています。
では、日本はどうなっているかというと、病気休暇は、労働基準法で定められているわけではなく本人と企業間の取り決めに任せられていて、欠勤扱いとなるか本人の希望で有給休暇扱いになるのが一般的です。もし企業に病気休暇制度があるという場合、それは雇用者が自主的に設けた休暇と言えます。取得できる条件や期間は、労使の協議あるいは休暇を与える雇用者が決定することが一般的です。2021年の調査によると、病気休職制度または病気休暇があると答えた日本の企業の割合は調査対象の2691の企業のうち54.0%となっています。また、使わなかった1年間の有給休暇を積み立てて、病気等で長期療養する場合に使えるようにする制度を導入している企業は、14.5%となっています。
来年から、台湾では制度が改正され、病気休暇が年間合計10日以内であれば、雇用主は労働者に不利益な扱いをしてはいけないとされます。日本もいつか、台湾のような罰金付きの義務制度が定められる日は来るのでしょうか?
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②「31年ぶり」
先月初め、台湾南部に位置する、標高2,000メートルを超える阿里山でタイワンヤマネコが観察されたのですが、阿里山で見つかったのは31年ぶりのことです。

(写真:農業部林業・自然保育署嘉義分署)
タイワンヤマネコとは、体重5キロ程度の台湾に生息する野生のベンガルヤマネコのことを指します。丸い耳にヒョウ柄の毛が特徴的で、中国語では「石虎」といい、「石虎」の発音が中国語の「十五」に似ていることから、台湾では10月5日を「タイワンヤマネコの日」と定めています。
土地の開発、農薬の使用、交通事故死、野犬・野良猫による攻撃などで個体数が減り近年の生息数は450〜650頭にまで減少。そのため台湾で絶滅危惧種に指定されています。
そんなタイワンヤマネコが今回姿を現したのは阿里山の中腹に当たる標高1752メートル地点の国有林の敷地内で、南部の嘉義県、嘉義市、台南市一帯で最も標高が高い地点でした。しかも見つかったきっかけとして、阿里山にタイワンツキノワグマの行動を調べるために設置された赤外線カメラに偶然写り込んだということで話題となりました。
農業部(農業省)によると、台湾全土では中部の苗栗、台中、南投を除き、安定したタイワンヤマネコの個体群はほとんど見られません。特に近年では、北部・新竹、中部・彰化、雲林、南部・嘉義、台南でたまにしか記録されていないといい、そんな中、先月初めに南部の阿里山で31年ぶりに確認されたのです。
農業部は今後も、地域や学術機関と連携して保護活動を進めていく姿勢を示しています。