現在台湾では旧正月真っ只中です。先週末から旧正月の連休が始まり、今年の旧正月期間は9日間ありますから、実家に帰省するのはもちろん、海外旅行に行っている台湾人も多いでしょう。そんな中今日、2月18日は中華圏の伝統的な暦である「旧暦」の1月2日に当たり、台湾では「初二」と呼ばれる日です。「初二」は漢字で「初回のしょ」に「漢数字の2」と書くのですが、昨日は「初回のしょ」に「漢数字の1」と書く「初一」、つまり旧暦1月1日、明日は「初回のしょ」に「漢数字の3」と書く「初三」、つまり旧暦1月3日に当たり、その後も「初一」から数えて4日目の「初四」、「初一」から数えて5日目の「初五」と続きます。この旧暦の元日からの5日間は「過年」と呼ばれ台湾をはじめとする中華圏の人にとって最も重要な期間です。そのため、旧正月に関する多くの風習が今日まで伝えられてきました。
そこで今回は、「過年」の伝統的な風習を「初一」から「初五」までそれぞれご紹介します。
まず旧暦の元日「初一」ですが、中華圏の人々にとって新しい一年の始まりの日であることから、早起きをして新たな始まりを象徴する新しい服を着ることが伝統的な過ごし方だとされています。初一に遅く起きたり昼寝をしたりとダラダラと過ごすことは、一年を通して怠けがちになると考えられているだけでなく、良い運気を逃してしまうと考えられているため、必ず早起きをするべきだとされています。そして起床後は家族の間で互いに新年のあいさつを交わし、朝食に肉や魚の入っていない精進料理を取ります。「初一」の朝食に精進料理を取る必要があるのは、神様への尊重を表すためとか、万物への慈悲の心を表し、新しい一年の良い運気を得るためとされています。また、おかゆは「初一」の朝食の際食べてはいけないとされています。これは、昔の農業社会では、おかゆは家の蓄えが不足し、生活が苦しいときに食べるものとされていたため、年長者の間では、初一におかゆを食べると縁起が悪く、新しい一年が「貧困に陥る」、あるいは物事が「円満に進まない」ことを象徴すると考えられてきたからです。朝食後は新年のあいさつ回りとして親戚や友人、近所の人を訪ね、新年の祝福の言葉を交わします。ただ、近年は直接あいさつ回りをする代わりに、メッセージアプリなどの通信手段を使って新年の祝福を伝える人が増えています。これは日本で年賀状を送り合う風習が、LINEなどで新年の挨拶をする方法に取って代わられつつあるのと同じですね。
また、初一に多くの人が道教の宗教施設である廟で参拝し、新たな年の平安を祈願します。
ここまで初一の代表的な風習をご紹介しました。
では、今年は今日にあたる旧暦の1月2日、「初二」の風習は何があるのでしょうか?
初二は主に嫁いだ女性が夫や子供と一緒に実家に帰省し親族を訪ねる「回娘家(帰省の日)」とされています。その際、女性は身支度を整え、手土産を持っていくのが習わしなのですが、これは両親への孝行を示すと同時に、夫の家でも幸せに暮らしていることを象徴します。実家では娘と婿をもてなすため、丸ごと一匹の鶏を使った料理など、縁起の良い料理が用意されます。ただ、伝統的な考え方では、結婚した女性が夜まで実家に滞在したり、夕食を共にしたりすると、「実家の財産を食いつぶす」ことを象徴し、実家の金運に影響を及ぼすとされているため、実家にはあまり遅くまで長居しないで夕方までに帰るほうがよいと考えられています。
では、旧暦の1月3日、「初三」の風習についてです。
初一、初二の慌ただしい日程を終え、初三はようやく自然に目が覚めるまで睡眠をとりゆっくり休める日とされています。初三が比較的のんびり過ごせる日とされるのは、この日が「赤狗日(赤色のあかに、天狗のぐ、日にちのひ)」と呼ばれているため。赤狗は怒りを司る神の一種とされ、不吉をもたらす存在と考えられています。また、「赤」という字は台湾語では「貧しさ」を意味することがあり、そのため初三に外出すると口論やトラブルに遭って顔を赤くしやすいだけでなく、貧しさを招きやすい日でもあると信じられており、外へ年始回りに出かけず、家で静かに過ごすのがよいとされています。
では、旧暦の1月4日、「初四」の風習についてです。
初四は、年末に天へ戻った神々が再び人間界へ降りてくる日とされていて、それらを迎え入れるため各家庭では、台所にお供物を並べて、新しい一年の無事を祈ります。台所で行う理由は、かつては各家庭で自炊をすることが当たり前だったため台所は生活の中心とされ、一家の食を司る重要な神、そして財産を司る神「財神」を迎え入れることで豊かな暮らしを願うためとされています。一方、旧正月の間に残った料理を食べ切ったり、たまったごみを家の外に出すことで、貧しさや不運を送り出す風習があるとされています。
では最後に、「過年」の最終日でもある旧暦の1月5日、「初五」の風習についてです。
この日は旧正月期間の重要な日とされ、初一から初四まで禁じられていたことをすべて解く日であり、休暇期間の区切りを意味する日です。例えば旧暦12月30日から1月4日(初四)までは掃除を控える習慣がありました。これは、掃除をすると運気を逃すと考えられているためです。そして初五になると大掃除を行い、また、爆竹を鳴らして悪い運を追い払います。もう一つ、初五に商売始めをすると良いとされています。これは、初五は財産を司る神「財神」の誕生日とされており、この日に商売始めをすることで、その年の商売繁盛や財運向上を願うことができるとされているからです。
ということで、「初一」から「初五」まで、「過年」の伝統的な風習をご紹介しました。
今日は「初二」、結婚した女性が実家へ帰省する「回娘家(帰省の日)」の日ということで、台湾では多くの人が一家団欒の時間を過ごせたのではないでしょうか。